午堂登紀雄「Drivin’ Your Life」

私の会社が「人材採用」で失敗して崩壊した理由

「Gettyimages」より

「求める人材」を採用できているか?

 以前、本連載記事『ダメ上司だった私だから知っている、部下にやってはいけないことリスト』でご紹介した、私が経営していた会社が崩壊した話の続きです。

 私のマネジメントのまずさがもっとも大きな原因だったとはいえ、採用方針が不明確だったことも原因のひとつだというのが私の反省です。「どういう人材が必要か?」という漠然とした希望条件はあっても、それを見抜くための戦略がなかったのです。それはつまり、人材採用は「投資」であるという認識が非常に低かった。これはトップである私の責任です。

 たとえば一般企業の面接でもよくあるような、志望動機や自己PR、学生時代の活躍・実績、自分の強み弱みなどというものは、聞いたところであまり意味はありません。その程度の内容なら応募者も入念に準備をしてきているでしょうし、たいてい加工に加工を加え厚化粧されたお見合いトークの場合が多いからです。もしかしたら、面接用につくられた架空のストーリーか、あるいは盛りに盛った美談かもしれない。せいぜい印象が良いとか悪いとか、まじめそうかどうかという印象程度しか、わからないでしょう。

『私が「ダメ上司」だった33の理由』(午堂登紀雄/日本実業出版社)

 そんな、どこの面接でも同じことが言えるようなマニュアル化され準備・練習して語れる内容では、本人の本質は見えてこない。それは結局ミスマッチ採用につながりやすく、会社側も従業員側も入社後のギャップにとまどい、悩み、お互い苦労するだけで、挙句の果ては早期離職、ということになりかねません。

 入社してからは地味な仕事の積み重ねです。その連続が組織としての成果になります。面接で披露されるような単発の派手な出来事ばかりではないですし、そうでないことがほとんどでしょう。そして、それを地道にやれる耐性があるかどうかは、仮に新卒を採用するなら、大学時代にどのような意志と姿勢を持って過ごしてきたのかがわかる質問をしなければなりません。中途採用なら、どのような仕事でどういう役割だったのか、そしてどのくらいのコミットをして、具体的に本人のどんな能力がどの程度貢献したのかを聞く。

 そういった本人の日々の生活習慣や、淡々とこなすルーチンワークといった毎日の地味な生活に、その人の行動原理などの本質が見えるからです。

面接担当者で基準や方法を共有する

 もちろん、大量の応募者をこなさなければならない大企業の第一次面接ではやむを得ない面もありますが、二次面接以降の実質的な採用選考の場面では、相手の資質や能力を見抜き、組織との相性や入社後の能力の再現可能性を評価しておく必要があります。

 そのためにも、まずは面接にあたるスタッフ全員が「どういうコンピテンシー(強み)を持っている人が望ましいのか」「それを見抜くにはどういう質問が必要か」「印象や好き嫌いといった個人的感想を排除するには何に注視すべきか」といった基準や方法を共有しなければなりません。

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

 1971年、岡山県瀬戸内市牛窓町生まれ。岡山県立岡山城東高等学校(第1期生)、中央大学経済学部国際経済学科卒。米国公認会計士。
 東京都内の会計事務所、コンビニエンスストアのミニストップ本部を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして勤務。
 2006年、不動産仲介を手掛ける株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。2008年、ビジネスパーソンを対象に、「話す」声をつくるためのボイストレーニングスクール「ビジヴォ」を秋葉原に開校。2015年に株式会社エデュビジョンとして法人化。不動産コンサルティングや教育関連事業などを手掛けつつ、個人投資家、ビジネス書作家、講演家としても活動している。

Twitter:@tokiogodo

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