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午堂登紀雄「Drivin’ Your Life」

私の会社が「人材採用」で失敗して崩壊した理由

文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役
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 たとえば、意欲的な応募者が面接に来ると、人によっては「生意気だ」という第一印象を受けることもあり、するとその後は、その応募者を落とすために欠点を探すようになる、といったことが起こり得ます。逆に、ルックスの良い異性の応募者が来たら、良い点だけを探すということも起こり得る。あるいは、名も知れない中小企業に東大生が応募してくると、「ついにわが社にも東大生が!」と採用チーム側が浮き足立つこともあります。

 しかし本当に優秀な人物なら、なぜ自社のような中小企業に応募してくるのか疑ってかかるべきにもかかわらず、「東大」というだけで目が曇ってしまう。そういう面接担当者の個人的な印象で採用不採用を決めてしまえば、入社後にミスマッチが出てしまうでしょう。

面接では「過去の事実」のみにフォーカスする

 よって面接では、過去の事実のみにフォーカスして聞き出す必要があります。派手な出来事や大きなプロジェクトのことよりも、日々をどのように過ごしてきたか、それはどういう思いや仕事観から来るものなのか。そこから何を学びどう次につなげ、それは具体的にどんなかたちで本人のキャリア形成や能力開発に貢献しているのか、1つの話題に絞って連続的なストーリーになるよう、深く掘り下げて聞くことです。 

 そうやって、準備では対応できない質問、深く考えなくても瞬時に答えられる質問をポンポンと投げかければ、本人の本質的な志向があぶりだされます。盛った矛盾点などはすぐに明確となり、化けの皮は剥がれます。日々の地味な取り組みのなかにこそ、本人の思考的特性や行動特性が伺えます。印象や好感度ではなく、過去の客観的な事実を評価することが、ミスマッチ採用を避ける一助になるのです。

 また、「想像と違う」「こんなはずではなかった」という入社後のギャップを防ぐためにも、採用チームは自社の良い面・悪い面含めて正直かつ適切な情報提供をすることも必要です。のどから手が出るほど人材が欲しい企業は、えてして自社の良い面ばかりを強調し、悪い面を隠そうとしがちですが、それでは早期離職者を大量に出すだけで、まったくメリットはありません。

 そのため採用チームは、採用の「数」で評価するのではなく、「質」で評価しなければ、単なる頭数集めに奔走するといった事態になりかねません。それではせっかくトレーニングしてもすぐに離職してしまい、現場での苦労もすべて水の泡、全員が徒労に終わるだけ。それなら最初から採用しないほうがよかった、ということになります。だから応募者には、「現実にはこういうこともある」「こういう状況はしんどかった」などと既存社員の問題意識も正直に伝え、それでも入社したいという覚悟を持った人材を採用するほうが望ましいでしょう。

 しかし、私は以前はこういったことに無頓着で、たとえば面接にあたる部下に対し、「営業・コンサルタント職だから、ストレス耐性があるか、フットワークは軽いかを見てほしい」としか伝えず、ではどういう面接をすればそれがわかるのかまで伝えませんでした。もとより私自身にそういう意識がなかったからで、最終面接の場での私の対応も、今思えば笑ってしまうほどに稚拙でした。

 そのため、「この会社ではあれこれ細かい指示はされない。自分で仕事をつくり自発的に行動することが求められる。それで、ついてこれるか?」などというバカげた質問をしていました。なぜこれがバカげているかというと、応募者は「はい、大丈夫です」としか言わないからであり、この程度で本人の資質が見抜けるはずもないからです。
(文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役)

【参考文献】
『私が「ダメ上司」だった33の理由』(日本実業出版社)

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

 1971年、岡山県瀬戸内市牛窓町生まれ。岡山県立岡山城東高等学校(第1期生)、中央大学経済学部国際経済学科卒。米国公認会計士。
 東京都内の会計事務所、コンビニエンスストアのミニストップ本部を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして勤務。
 2006年、不動産仲介を手掛ける株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。2008年、ビジネスパーソンを対象に、「話す」声をつくるためのボイストレーニングスクール「ビジヴォ」を秋葉原に開校。2015年に株式会社エデュビジョンとして法人化。不動産コンサルティングや教育関連事業などを手掛けつつ、個人投資家、ビジネス書作家、講演家としても活動している。

Twitter:@tokiogodo

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