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デサント、伊藤忠との会談“隠しどり”→暴露で企業としての信用失墜…救世主に裏切り行為

文=編集部

デサントのクーデター

 だが、13年6月の首脳人事でデサントと伊藤忠の間に亀裂が走った。6年間陣頭指揮をしてきた中西氏が会長にも相談役にも就かず完全に引退。後任の社長には創業家3代目の石本雅敏常務が昇格した。

 石本氏の社長就任は同年2月22日に内定、公表された。社長交代は新旧の社長が揃って会見するのが普通だ。ましてや創業家出身の社長の登場とあって、話題性も十分だった。だが、発表はA4判の資料2枚のみ。中西氏の処遇は「退任」とのみ書かれていた。この時点でデサントと伊藤忠の不協和音が内外に知れ渡った。

 12年末に伊藤忠とのパイプ役だった創業家2代目の石本恵一氏が亡くなったことが大きく影響したとみられている。「伊藤忠の支配強化に不満を持つ生え抜き役員たちによる、創業家3代目の雅敏氏を担いだ“クーデター”」と業界では囁かれた。

 以来、石本雅敏社長体制の下、デサントと伊藤忠の関係は悪化の一途を辿っている。石本氏を支えるプロパーの役員たちは、先代から役員として仕えている。役員全員が社長より年長だ。石本氏は、“子飼いの役員”がいないことから孤独感を深めている、との情報もある。

 漁夫の利を狙って、「物言う株主」である香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントがデサント株を2~3%(推定)取得して参戦してきた、という情報も流れている。

 タイムリミットは、19年6月の株主総会の招集通知を出す前となる。伊藤忠はデサントを買収する気はない。石本氏が経営トップとして現状をどう判断するかにかかっている。

 そんななか、石本氏に軟化の兆しがある。商社無用論を唱えていた同氏が、18年11月8日付朝日新聞(大阪版)の単独インタビューで「どの会社とも関係を悪くしたいとは思っていない。商社との付き合いはビジネスをしていくうえでとても大事だ」と軌道修正した。

 19年2月までに石本氏と小関氏は会談を開き、伊藤忠が求める事業見直しについて話し合うことが予想される。こうすれば全面衝突は回避でき、岡藤氏も振り上げた拳を降ろすことができる。

 岡藤氏には三井物産の飯島彰己会長の後任として、経済団体連合会(経団連)副会長就任の流れができつつあるが、ビジネスとは別の話だ。「デサントを良くする自信があるから、いろいろ言っている。韓国一本足(税引き後利益の9割がデサント韓国)ではなく、中国などに販路を広げるべきだ。中国事業ではウチが全面協力する」と述べている。伊藤忠の繊維部隊の“ドン”といわれる岡藤氏は、安易に妥協することはないだろう。

 創業家の経営者の弱点は、周囲にイエスマンしかいないため、「こうすれば、戦いが有利になります」と自信を持って進言してくれる外部の人間に頼る傾向があるという。

 だが、これが思わぬ盲点になることもあるから経営は難しい。
(文=編集部)

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