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八ツ井慶子「未来予想図~家計編」

貯蓄額「中央値」は380万円…「就職のために大学進学」は不要に、学びたい人は無償で

文=八ツ井慶子/生活マネー相談室代表、家計コンサルタント
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 かといって「学生が悪い」とか「なっていない」などと言うつもりはまったくありません。その点は誤解のないようにお願いしたいのですが、そういう「社会」に今なってしまっている、ということです。

 大学に進学するのは「就職のため」「働くため」だとすれば、では、なぜ働かなければならないのでしょうか。それは「お金」を得て、そのお金で生活に必要なものを買うためです。すなわち、現状は「働く=生きるため」という社会経済が成り立っています。「何を当たり前のことを言っているんだ」と思われるかもしれませんが、実はここがとても重要なポイントだと思っていまして、あえて説明させていただきました。

 では、実際のところ、働いて生活できているのでしょうか。

 何をもってして「生活できている」と定義するのかも難しいのですが、家計が困窮してきているデータは少なくありません。

 例えば、金融広報中央委員会が毎年公表している「平均貯蓄額」と「中央値」の推移です。平均貯蓄額のここ最近の推移をみると、一定の範囲内で増減を繰り返しているのに対し、「中央値」は減少の傾向にあります。金額の真ん中が「平均値」であれば、金額順に世帯を並べたとき、真ん中に位置する世帯の保有する額が「中央値」です。平成29年でみると、平均貯蓄額は1,151万円であるのに対し、中央値は380万円。「平均値」と「中央値」で3倍以上の開きがあります。これは「貯蓄がない」世帯が増えてきていることが大きく影響していると思われます。日本でも家計の格差が広がっている実態がうかがえます。

 さらに、生活保護世帯の昭和33~平成27年までの時系列データを見ると、保護世帯数は平成5年から増え続けています。世帯保護率(全世帯に占める生活保護受給世帯の割合)では、平成9年以降、平成25年の1年を除いて上昇し続けています。平成9年といえば、平均給与額がピークを迎えた頃で、山一證券の破たんといった金融危機が起こり、消費税が5%に引き上げられた年です。生活保護に陥る世帯は20年以上も増え続けているわけです。

「経済成長」しなくなる

 教育費から話が逸れているように思われるかもしれませんが、もう少しお付き合いください。

 家計のこうした状況の一方で、モノは潤沢にあることがわかるデータがあります。生活に必要とされる「衣食住」を例にみてみましょう。

八ツ井慶子/生活マネー相談室代表、家計コンサルタント

八ツ井慶子/生活マネー相談室代表、家計コンサルタント

(FP技能士1級)。宅地建物取引士。(社)日本証券アナリスト協会検定会員。アロマテラピー検定1級合格者。城西大学経済学部非常勤講師。個人相談を中心に、講演、執筆、取材などの活動を展開。これまで1,000世帯を超える相談実績をもち、「しあわせ家計」づくりのお手伝いをモットーに活動中。
生活マネー相談室

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