序盤こそ、視聴率と評判の両面で『下町ロケット』(TBS系)、『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日系)、『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)らの後塵を拝していたものの、中盤に入って人気爆発。『今日から俺は!!』(日本テレビ系)は、秋ドラマが軒並みクライマックスを迎えるなか、最大の話題作となっている。
何しろ「小学校のクラス全員が観ている」「大学生の間でオープニングの歌とダンスがはやっている」「サラリーマンやOLが仕事の活力を得ている」などのクチコミに加え、ツイッターのフォロワー数は秋ドラマのなかで断トツ。YouTubeの公式動画や「Hulu」の視聴数など、数字の面でも驚異的な成果を見せているのがすごい。
当然というべきか、ネット上には同作にかかわるコラムが増えているが、その内容は「アドリブがおもしろい」「福田雄一の演出がすごい」のほぼ2パターンに集約されている。しかし、それだけでは1980年代のツッパリ漫画を原作にしたドラマが、これほど老若男女を惹きつけられなかったのではないか。
言い方を変えれば、『今日から俺は!!』は老若男女を惹きつけるだけの確固たる理由を持っていたのだ。
4つの要素を併せ持つハイブリッド作
なぜ老若男女を惹きつけたのか? 親にしてみれば「子どもに見せたくない」ようなケンカシーンが多いし、子どもにしても「80年代の髪型や服はなじみがない」はずだ。さらに、多くの女性にとってツッパリの学園ドラマは縁遠い世界観ともいえる。事実、放送前は「原作漫画を読んでいた30代以上の男性以外、視聴者として計算できない」と苦戦が予想されていた。
ところが、フタを開けてみたら『今日から俺は!!』は「老」「若」「男」「女」、それぞれの層に訴求するハイブリッドな作品だったのだ。
「老」には短ランや聖子ちゃんカットなど80年代カルチャーへの“ノスタルジー”、「若」にはアドリブを超えて一発ギャグのような“笑い”、「男」には若手俳優ならではの躍動感あふれる“アクション”、「女」にはピュアな恋心やバカップルが見られる“ラブ”。
4つの要素を織り交ぜて「緊張と緩和」で楽しませることで、あらゆる層からの支持を獲得したのだろう。アンチは「ストーリー性がない」「これはドラマじゃない」などと言うが、そもそも『今日から俺は!!』は「テーマを掘り下げよう」「連続性を見せよう」というスタンスの作品ではない。
「アクション、笑い、ラブ、ノスタルジーという4つの要素で思い切り楽しませてやろう」というエンタメ性をひたすら追求した作品なのだ。
画面から伝わる“福田組”の充実感
4つの要素をバランスよく共存させるために、キャストとスタッフに求められるのは、まるで舞台公演のような瞬発力と持久力。その意味で、当作は“福田組”の結束が際立っている。
たとえば、無茶振りのようなアドリブによる笑いは、「俺を笑わせてみて」という福田雄一のリクエストに、追い込まれながらも「なんとしてでも笑わせたい」と応える俳優たちとの信頼関係そのもの。
激しいアクションシーンにも、撮る側と演じる側双方の「これくらいはやってほしい」「もちろんそれくらいやれますよ」というプライドを感じてしまう。「Hulu」で配信されている「未公開シーン復活版」を一度でも見れば、笑いのなかにそんな苦闘の跡がうかがえるはずだ。
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