ビジネスジャーナル > キャリアニュース > 転職活動で落とされる履歴書&面接  > 3ページ目
NEW
山崎将志「AIとノー残業時代の働き方」

転職活動、落とされる履歴書と面接の共通点…書いては(言っては)いけない志望動機

文=山崎将志/ビジネスコンサルタント
【この記事のキーワード】, , ,

採用する側の立場や目的を理解する

 とにかく、過去の問題をあげつらうのではなく、将来について考えるのがビジネスであり、企業はそういう人材を求めていることを理解する必要があります。

「前職は仕事がハードすぎて……」というのも、これに似ています。時間外労働や残業手当に関して不満を言うと、忍耐力が足りず、ラクしたいから、うちの会社に応募してきたのでは、と思われてしまいます。企業規模の大小や業種等にかかわらず、現実的には微妙なところでやっている面があります。ですから、待遇に過度にこだわる人は避けておこうという直感が採用担当者に働きます。仕事が多いことが原因ではなく、ただ本人の仕事の効率が悪いだけなのではないか、と疑われる可能性も高いでしょう。

 一見よさそうで実は好ましくないものに、「協調性、指導力、行動力、忍耐力、瞬発力……等があります」という自己アピールがあります。こうした「○○力」「○○性」に関する記述は抽象的でよくわかりません。誰にでもあるといえるし、ないともいえるものですから、自分自身でそれを表現すること自体意味を持ちません。もし、自分の性質の特長を示したいのであれば、それが発揮された具体的なエピソード、および数字を伴う結果を記し、その能力がどの程度あるかは相手に判断を委ねるべきでしょう。

 以上、いくつかの残念な志望動機を挙げましたが、なぜそうなってしまうかといえば、採用する側の立場や目的が十分理解できていないからです。

 書類選考する立場で言えば、送り手は何者で、これまでどんなことをやってきたかをまず知りたいものです。その次に、その人物が、当社のどの部分に興味を持ったのか、採用広告のどこに魅力を感じて応募してきたのかに着目します。そして、「こういうポジションがあったら、もしかしたら役に立てるかもしれない」と、当人がどう認識しているのかが示されていると、自社のどの部分において戦力になり得るかをイメージしやすくなります。つまり、まずは公開されている情報のみに基づいて反応してもらいたいのです。今お話しした3点のどれかに魅力を感じたら、会って話を聞いてみようと思うわけです。

高い成果を出す可能性のある人

 次に、面接までこぎつけることができた時のお話をします。

 以前、ある大企業の社長がインタビューに答えてこう話していました。彼は採用面接の際に必ず自分が一番好きなことを挙げてもらい、それについて語ってもらうそうです。たとえば、映画が好きだと答える人には、どういうジャンルが好きなのか、そのなかで印象に残っている映画は何か、映画の情報をどう仕入れているのか、そしてそれぞれについて、「なぜ」を徹底的に尋ねます。そうすることによって、好きなことに対してどの程度の真剣さで取り組んでいるのかがわかります。好きなことに対しての取り組み姿勢が優れていれば、仕事で高いパフォーマンスを発揮する可能性が高く、そうでなければ見込みがない、ということだそうです。

 実はこの手法は、「行動特性インタビュー」と呼ばれる面接技法のコンセプトと同じです。ある組織において成果を出す可能性が高い行動特性があらかじめわかっている場合に、それと同じ行動特性が備わっているとすれば、将来高い成果を挙げる可能性が高いという考え方です。

 行動特性インタビューでは、「スキルはあるか」と単刀直入に聞いたり、「○○の場合はどうするか」と想像上の状況について聞くなど、確かめようのない質問方法をとらず、過去の事実のみを質問していきます。

 それには、たとえば過去1年間のなんらかの課題への取り組みについて、時系列でひとつずつ行動例を確認していきます。一般論として、営業、販売、研究開発、製造など業務特性の違いにかかわらず、高い成果を出す可能性のある人の話は、次のような特徴を持っています。

・(目的、場所、日時、期間、登場人物等)が具体的であること
・過去形で話をしていること
・後付けによる考えではないこと
・やればよかったと後悔していることやポリシーではなく、その時に実際に取った行動であること
・他人と関わる部分については、その会話内容まで詳細に再現できること

 つまり、真剣に仕事に取り組むことでしか、再現することのできない話を聞いていくわけです。ここからいえることは、今の仕事で成果を出す行動様式を持っているかどうかを確認することが、採用面接で重視している点です。逆に考えれば、今の仕事で成果が出ないから、転職して成功しようとするのは、かなり可能性の低いことだともいえます。転職して成功するためには、今成功していないとダメなのです。
(文=山崎将志/ビジネスコンサルタント)

山崎将志/ビジネスコンサルタント

山崎将志/ビジネスコンサルタント

ビジネスコンサルタント。1971年愛知県生まれ。1994年東京大学経済学部経営学科卒業。同年アクセンチュア入社。2003年独立。コンサルティング事業と並行して、数社のベンチャー事業開発・運営に携わる。主な著書に『残念な人の思考法』『残念な人の仕事の習慣』『社長のテスト』などがあり、累計発行部数は100万部を超える。

2016年よりNHKラジオ第2『ラジオ仕事学のすすめ』講師を務める。


最新刊は『儲かる仕組みの思考法』(日本実業出版社)

転職活動、落とされる履歴書と面接の共通点…書いては(言っては)いけない志望動機のページです。ビジネスジャーナルは、キャリア、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

RANKING

17:30更新
  • キャリア
  • ビジネス
  • 総合