女優の木村佳乃が主演を務める連続テレビドラマ『あなたには渡さない』(テレビ朝日系)の第5話が12月8日に放送され、またもや「本当に意味がわからなさすぎて笑えてくる」「不倫ドラマっていうより不倫コメディ」と話題になっている。
料亭「花ずみ」の板長である上島旬平(萩原聖人)をめぐり、妻の上島通子(木村)と愛人の矢萩多衣(水野美紀)が醜い女のバトルを繰り広げるはずだったが、旬平は通子と離婚し矢萩と再婚。タイトルに反して、通子はすでに矢萩に夫を奪われてしまったわけだ。
第5話では、通子が復讐するために矢萩を誘って1泊旅行に出かける。部屋に入り怒りをぶちまけた通子は、いきなり矢萩に脱ぐように迫るが、その理由は「あなたの体を改めるの。そうね、たとえるなら、ここは“関所”ね。そして私はここを通る女が着物の下に嘘を隠してないか調べる“改め女”」というもの。
通子が矢萩の帯をほどくシーンは予告で流れていたため、この展開を待っていた視聴者も多かったようだが、意味不明のセリフには失笑する人が続出。ネット上には、矢萩の「どうかしてる……」というセリフに便乗して「本当にどうかしてる」「関所とか悪代官プレイとか、全部どうかしてるわ」という書き込みが多くみられ、「改め女とは?」「本気で言ってる意味がわかんない!」と困惑が広がった。しかも、通子が矢萩を裸にした挙げ句に放ったのが「体も嘘つきね」というセリフ。何をどう見てそういう答えに至ったのかも意味不明である。
通子は矢萩に「真心だってあったのよ!」「純粋に旬平を譲るつもりだったのよ」などと言っておきながら、わざわざ呼び出して裸にさせたわけだが、それは自分が料亭「勝浪 銀座店」を手に入れるためだったようで、矢萩に「5000万円である人と寝てほしい」と持ちかける。まさに、通子がやっていることは鬼畜の所業だ。
一方で、以前に通子が矢萩から借りた花ずみの経営資金6000万円は、矢萩が通子の幼馴染みである笠井総合建設社長の笠井芯太郎(田中哲司)に体を売って工面したことが判明。すると、通子は笠井の事務所に押しかけて「自分のことが好きなら、なぜ直接誘わなかったの?」と怒りをぶちまける。
しかし、笠井は前回通子を誘っており、通子はその誘いを断っていたはずだ。それにもかかわらず、「簡単に断ったわけじゃない。本当はすごく迷った」「もしもあのとき、私をひとりの女として誘ってくれていたら、私はきっとうなずいていた」などと言い出す。あれだけ旬平に固執していたのに「笠井についていくつもりがあったんかい」とツッコまずにはいられない。
ひとりでわめき散らした挙げ句、旬平への思いにけじめをつけた通子は、再び矢萩に共同経営の話を持ちかける。「どれだけ自分勝手な女なんだ」とあきれてものも言えないが、悪代官プレイで裸にまでされたのに受け入れる矢萩にも、なぜか友情を芽生えさせている2人にも、疑問の念を禁じ得ない。
今回で通子と矢萩の修羅場にはいったん終止符が打たれたかと思ったが、今度は旬平が姿を消してしまった。しかも、予告では旬平に第3の女が現れ、隠し子までいる様子。いつも暗い顔ばかりしている旬平のどこにそんな魅力があるのかまったくわからないが、クズ野郎だということは確かなようだ。そう考えると、通子と旬平は夫婦として意外といいコンビだったのではないだろうか。
「登場人物の誰にも共感できないドラマ」とも言われ始めているが、第3の女の存在には「あの女、誰? 気になる」という視聴者も多いようだ。この先も何が起こるかわからないドラマである。
(文=華山いの/ライター)