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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

米国によるファーウェイCFO逮捕は、日本企業に“とてつもない大打撃”を与える

文=湯之上隆/微細加工研究所所長
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日本企業への影響

 18年4月16日、米商務省は米国企業に対し、ZTEとの取引を禁じると発表した。その結果、ZTEはインテルやクアルコムの半導体を調達できなくなり、スマホの製造が困難となった。ZTEは事実上、操業停止に追い込まれ、米国で科された罰金に預託金を合わせた14億ドル(約1570億円)を支払い、米商務省は米国時間7月13日に取引禁止措置を解除した。

 そして、今度はファーウェイである。米国はカナダに孟副社長を逮捕させるとともに、米国だけでなく、米国の同盟国にファーウェイ製のスマホや基地局を使わないよう圧力をかけている。また、ファーウェイの米国からの半導体輸入額はZTEの6倍で、インテルから7億ドル、クアルコムから18億ドルに達するという(12月7日付日経新聞より)。米商務省は、ZTEの時と同様、これら半導体の輸出を禁止する可能性が高い。

 また、日本からの部品調達金額は5000億円規模になる見込みである(12月8日同紙より)。この部品には、ソニーのCMOSセンサ、東芝メモリのNANDフラッシュメモリ、TDKのセラミックコンデンサ等が含まれていると思われる。これら部品も輸出禁止になるかもしれない。

 では、米半導体や日本の部品が輸出禁止になると、どのようなことが起きるのだろうか。

半導体製造装置や材料への影響

 インテルは自社で半導体を設計し、製造している。一方、クアルコムは設計専門のファブレスであり、製造は台湾のファンドリーTSMCが行っている。したがって、スマホ出荷台数で世界第2位のファーウェイ用半導体が輸出禁止になると、インテル、クアルコム、TSMCのファーウェイ用半導体ビジネスが消滅する。これは、次のような連鎖反応を引き起こす。

 インテルやTSMCなどの量産工場で半導体を製造するには、製造装置と材料が必要である。製造装置については、露光装置を除けば、ほぼ日米が独占している(図5)。

米国によるファーウェイCFO逮捕は、日本企業に“とてつもない大打撃”を与えるの画像5

 ファーウェイのスマホ用のプロセッサは、アップルのiPhoneにも引けを取らない最先端技術で製造されているが、その製造装置ビジネスが消滅することになる。具体的には、東京エレクトロン、スクリーン、日立国際電気、荏原製作所、日立ハイテクノロジーズなどが大きな影響を受けることになる。

 また、製造装置は3000~5000点の部品で構成されており、米国製の製造装置であっても、その部品の多くは日本製である。したがって、米アプライドマテリアルズ、米ラムリサーチ、米KLA-Tencorなどの製造装置ビジネスが消滅すると、そこに部品を供給していた多くの日本企業もダメージを受けることになる。

 さらに、シリコンウエハ、レジスト、薬液、ガスなど材料の多くは、日本が世界シェアを独占している。したがって、これら材料メーカーも甚大な影響を受けることになる。

米中ハイテク戦争の行方は?

 トランプ氏が米大統領に就任して以降、米中の貿易摩擦が激化した。もはや、その有様は「摩擦」という生やさしいものではなく、「ハイテク戦争」と呼ぶほうが相応しい。両国のやり合いは、どんどんエスカレートしている。

 米国、つまりトランプ大統領の思惑がどこにあるのか、筆者には理解できない。しかし、トランプ大統領が中国に対して過激な措置を講じるほど、その反動で米国だけでなく日本などの周辺国が被害を受けることは確実である。

 米中のハイテク戦争は、いつまで続くのか。どちらかが倒れるまでやり合うのか。周辺国としては、大変迷惑である。ケンカをするなら、周辺国を巻き添えにせず、当事者だけでやってくれ、と言いたい。
(文=湯之上隆/微細加工研究所所長)

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