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有馬賢治「今さら聞けないマーケティング 基礎の基礎講座」

企業不祥事の際、問題を“悪化させる”広報対応の共通点

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季

――初動が大事と。

有馬 個人でも企業でも、世の中、不祥事があふれていますが、その多くが初動に失敗しています。最近でしたら、片山さつき参議院議員が不正を報じられたときに、最初は報道を否定していましたが、続報を出されて訂正をせざるを得なくなりました。日大のアメフト部問題も、責任者である理事長が直々に説明をしないことに世間の注目が集まりました。これも問題を広げる要因となったと思います。

迅速に対応できる広報体制を整えるのもマーケティングのうち

――やはり個人も企業も、つい保身に走ってしまうようですね。旬な話題だと、日産カルロス・ゴーン前会長が逮捕されましたが、このケースは、どちらかといえば、ゴーン氏個人の問題にも思えますが、それでも日産のブランドイメージ低下は免れないのでしょうか。

有馬 神戸製鋼が品質管理データを改ざんした事件と違い、今回の日産のケースは直接的に製品の品質への信用が損なわれる問題ではありません。が、トップの不正は消費者に「こんな会社がつくっている製品は本当に大丈夫なの?」と疑念を抱かせるには十分です。この状況で、特にこだわりがなければ、あえて日産から車を購入しようという気持ちが起きづらいとは思いませんか。

――不祥事が起きた際に重要なのは責任者の迅速な説明が第一ということですが、その前段階として、組織としてはどのような体制を整えておくべきなのでしょうか。

有馬 何かあったときにきちんと情報を整理してプレスリリースできる広報体制を整えることでしょうか。リスクマネジメントを意識したブランドづくりが求められる時代になったと私は感じています。ですから問題が起こった直後にマスコミの取材を受けて、「担当者不在でお答えできません」という対応をする広報担当者がよく見受けられますが、これは好ましくありません。その場で回答できなくても、「いつどこで発表します」としっかりと明言すれば、無責任な印象は、少しは和らぐのではないかと思います。イメージ回復の第一歩はとにかく社会に対して誠実に対応することなのですから。

――ありがとうございました。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季)

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