
北海道の冬の夜空に、ガス大爆発の轟音が響き渡った――。
16日夜、札幌市内の飲食店などが入居する建物で爆発が発生し、重軽傷者が42人に上る大惨事となった。報道によれば、1階の不動産仲介会社「アパマンショップ平岸駅前店」の従業員が室内で100個以上の消臭スプレー缶のガスを抜く作業中に、なんらかの原因で引火した疑いが高いという。建物は木造2階建てで、アパマンショップと飲食店(2階)は倒壊し、建物は全焼。2階の飲食店では壁が吹き飛んで床は崩れ落ち、さらに周囲のマンションや店舗でも、窓ガラスが割れるなどの被害が生じたという。
改めてガス爆発の恐ろしさを印象づける今回の事故だが、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏は、次のように語る。
「現時点で事故原因は最終確定していないと思いますが、報道によるものと、現場映像から想像するに、スプレー缶による爆発事故としては過去最大級のものではないでしょうか」
このようなガス爆発事故というのは、日本では頻繁に発生しているのだろうか。
「ガス漏れによる爆発事故は特に珍しくはないですが、過去の規模の大きい人的被害のあった事故としては、プロパンガスや都市ガスが漏れたものに引火したり、地中から噴出したメタンガスなどに引火した事故などがあります。近年はセンサーや警報などが普及したこともあり、それほど頻繁に事故は起きていません。
ただ、スプレー缶などの爆発事故はキャンプ場などで使用方法を間違ったり、加熱させることで小規模な爆発が発生することが良くあります。周囲数m範囲の被害なので、報道されるような事故にはなりません」
では、今回のようなガス爆発事故を防ぐためには、どうすればよいのか。
「ガス爆発が起こるには必ず密閉空間が必要なので、缶の処理によって相当な量のガスが室内に充満し、湯沸かし器で引火させることがなければ、今回のような事故は発生しないと思います。不動産会社従業員の責任は重大であり、それを室内で行わせてしまった管理者の責任もあるかと思います。
このような事故を起こさないためには、缶の処理は必ず屋外の風通しの良いところで行わなければならず、それを怠ったことが今回の事故原因と考えられます。スプレー缶は屋外で必ず使い切ってから捨てるようにし、穴空けの必要はありません。今回起きた札幌市もそのように規定しています。穴あけの時にガスが大量に残っていると、噴出したガスが引火する危険もあります。なお、自治体によってはまだスプレー缶の穴空けが必要なところもあるようなので、必ず自治体の処理方法を確認して、それに従ってください」
ちょっとした油断が、思わぬ大惨事を引き起こす可能性もあるようだ。
(文=編集部)