ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 3000円のガトーショコラが売れる理由
NEW
成功する「選択と集中」――何をやめ、何を強めるべきか(1)

なぜ1個3000円のガトーショコラがバカ売れするのか?ネット通販なしでも年商3億円の戦略

文=編集部
【この記事のキーワード】, , ,
なぜ1個3000円のガトーショコラがバカ売れするのか?ネット通販なしでも年商3億円の戦略の画像1『余計なことはやめなさい!』(集英社/氏家健治)

 どのようにビジネスの戦略を立てて収益を伸ばしていくかというのは、経営者にとって悩みの種だろう。特に中小企業は、なんとか収益をあげるために手広く展開しようとして、逆に疲弊してしまいがちだ。

 ケンズカフェ東京のオーナーシェフである氏家健治氏が執筆した『余計なことはやめなさい!』(集英社)は、経営者にとって「何をやめるべきか」「どこにフォーカスすべきか」という「選択と集中」の教科書的な一冊である。がんばっているのに成果が出ない、いろいろなことを手広くやりすぎて失敗する。そこから抜け出すには、「どこにお金をかけるか」の選択が大切になる。

 今年創業20年を迎え、最高級のガトーショコラのみで年商3億円の売り上げを見込むケンズカフェ東京の経営の「軌跡」は、まさに「選択と集中」のお手本だ。氏家氏の手法を4回の連載で紹介していく。

創業期は赤字続き、家族からお金を借りたことも

 1998年、東京の新宿御苑近くに「ケンズカフェ」という小さなイタリアンレストランが開店した。オーナーシェフの氏家氏は、開業当時29歳。イタリアンやホテルのレストランで修業を積み、カジュアルな「カフェ」という業態で念願の自分の店を開いたのだった。

 当時はカフェブームが到来しており、気軽に入店できるように心がけた。ランチはパスタメニュー、ディナーはパスタとピザを中心に提供。ランチは利益が少なく、ディナーに客を呼び込む“集客手段”であり、ディナーを収益の柱として見込んでいた。

 しかし、そううまくはいかない。まず問題になったのがロケーションだった。新宿御苑前駅付近はオフィス街ではあるが、ディナーの客はほど近い新宿方面に流れてしまう。そうなると、ディナーの収益が見込めず、利幅の薄いランチに頼りがちな経営になる。

 さらに、家賃も広さも手ごろとはいえ、表通りから一本入った場所でレストランには不向きな立地だったことも、客足の伸びに影響していた。

 開業から5年間は「しんどかった」と氏家氏は振り返る。赤字額は毎月10万~50万円。内緒で母親からお金を借りたこともあったという。悔しさ、悲しさ、情けなさ……さまざまな思いにつぶされそうな時間が過ぎていった。

ディナーの通常営業をやめてから快進撃が始まる

 転機が訪れたのは、2003年のこと。腹をくくった氏家氏は事業の見直しを図る。

 まず、収益の柱と見込んでいた夜の通常営業をやめて、予約制の宴会のみにしぼることにした。宴会の優れた点は完全な受注生産であるところだ。予約を受けてから準備をするため、材料費などに無駄が出ず、利益率が高いビジネスなのだ。

 これで赤字を脱することができたが、油断は禁物。どのような手を打とうかと考えたときに出てきたのが、今のビジネスの中心である「ガトーショコラ」だ。

 04年頃からメニューに取り入れ、ランチや宴会の際のデザートに提供していたが、常連客からの評判が良く「持ち帰りたい」というニーズがあったことから、テイクアウト販売を展開していた。

 このガトーショコラ、そこまで強くPRをしていないにもかかわらず注文が増えていき、自社で通販専用サイトを開設。とりわけ、母の日やバレンタインデー、クリスマスなどのイベント時には大きな売り上げを記録した。

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

『余計なことはやめなさい!』 商売の「常識」を捨てたら、好循環が始まった! 倒産危機だったレストランが「たった1つの商品」で、年商3億円!! 食べログ「全国チョコレート店ランキング」第1位の店の成功メソッド。 amazon_associate_logo.jpg

なぜ1個3000円のガトーショコラがバカ売れするのか?ネット通販なしでも年商3億円の戦略のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!