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鳥貴族、高収益なのに「客軽視の」値上げで歯止めなき客離れ…赤字転落目前

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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 なお、鳥貴族は全店舗の4割弱がフランチャイズ(FC)店で、FC店からのロイヤリティ収入などを計上している側面もあるため、上記について一概にはいえない部分があることをご了承いただきたい。

 さて、上記を整理すると、売上原価率が1.8ポイント改善し、販管費比率が5.1ポイント悪化したわけだが、この2つを差し引きした後の値(3.3ポイント悪化)がコスト全体の改善(悪化)効果となる。そしてこれがそのまま売上高営業利益率に反映される。つまり、営業利益率は前年同期から3.3ポイント悪化することになり、1.5%という低い営業利益率、1億3600万円という記録的な低営業利益となってしまったわけだ。値上げにより利益率の改善(増加コストの吸収)を見込んだが、利益率を改善するどころか悪化させてしまい、かつ、利益の額も大幅に減らす結果に終わってしまった格好だ。

 客離れは、とどまるところを知らない。既存店客数は11月まで12カ月連続で前年同月を下回っている。売上高は11カ月連続でマイナスだ。しかも、18年10月と11月は値上げから2年目となるが、それぞれ1年目よりも客離れが進行してしまっている。1年目の10月は前年同月比5.3%増だったが、2年目は7.5%減とマイナスに転じた。1年目の11月の客数は3.8%減だったが、2年目は6.5%減とマイナス幅が拡大し、客離れは拡大している。

そもそも値上げは不要だった?

 はたして、鳥貴族は値上げする必要があったのか。後出しジャンケンのようなかたちになってしまうが、筆者は値上げに疑問を持っていた。なぜなら、鳥貴族は同業他社が羨むほどの高い利益率を誇っていたためだ。コスト高を十分吸収できるだけの体力を持っていたため、値上げする必要はなかったと考えていた。

 値上げ直前の17年7月期の鳥貴族の営業利益率は5.0%。これはかなり高い数値だ。財務省発表の法人企業統計によると、17年度の飲食サービス業の営業利益率の平均は2.1%にすぎず、鳥貴族の半分にも満たない。資本金10億円以上と大きな企業でも4.6%にとどまる。鳥貴族の5.0%の大きさのほどがわかるだろう。多少のコスト増であれば十分吸収できる体力があり、値上げする必要はなかったのではないか。

 鳥貴族より営業利益率が低い企業で主力業態・主力メニューで値上げを近年控えているところは数多くある。たとえば、居酒屋「和民」を展開するワタミは18年3月期の営業利益率が1%に満たず厳しい経営状況にあるが、値上げは控えている。牛丼大手の吉野家ホールディングスは2.0%(18年2月期)と厳しく、また、競合の「すき家」「松屋」が一部商品を値上げしたが、「吉野家」で値上げに動くことはなかった。これらは一例にすぎないが、厳しい利益率の状況にあっても値上げに動かない企業は少なくない。企業努力でコスト高に対応しているのだ。

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