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このような背景を知ると、彼らの動きの見え方も変わる。知人の全国紙の記者は「(山下氏、嘉山氏は)今回の記者会見で、この件は解決済みにしたいのでしょう」と批判する。もちろん、問題を指摘された他の国立大学も同様だ。全国医学部長病院長会議は、なぜ自主的に調査しないのだろうか。
第3の疑問は、記者会見で説明した嘉山氏だ。嘉山氏は山形大医学部参与だ。医学部長ではない。彼が医学部長を務めたのは2010年までだ。なぜ、このような人物が会見するのだろうか。私は嘉山氏とは旧知だ。実力・実績ともに申し分ない。現在も山形大学や全国医学部長病院長会議を仕切っているのは医学界で有名だ。もし、嘉山氏に意見があるなら、彼個人が自分の意見として発表すればいい。全国医学部長病院長会議のような「肩書」に頼る必要はない。
このような背景を知ると、全国医学部長病院長会議の実態がわかる。特定の人物が組織の権威をかたり、自らの意見を訴えているだけだ。大した議論をすることなく、声の大きいものの意見が通る。これこそ、医学部や大学教授が仕切る医学界が抱える問題だ。
組織のガバナンスとは、リーダーがダメな時に、被害を最小限に食い止めるためのものだ。だからこそ、手続きが大切なのだ。ところが、医学部では一部の人間が正式な機関決定を経ず、徒党を組んで決めてしまい、それを記者会見まで開いて世間に訴える。この滑稽さをメディアも報じない。11月21日付日経新聞は社説で「医学部の入試指針を順守せよ」と掲載し、嘉山氏たちの主張を支持した。
こうして時代錯誤の男女差別が続いてきた。いまこそ、医学部および医学界のガバナンスを考え直すべきときだ。
(文=上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長)
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