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日本の「ごみ処理」が売られるⅠ(1)

安倍政権、水道民営化の裏で、インフラ運営を外資系企業に売り渡す…国民の命を危険に

文=青木泰/環境ジャーナリスト
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 この発言は、世界の水メジャーの視点に立ち、日本の水道システムは注目すべき儲け話であることを示唆する発言でしかない。日本の水道事業が、自治体によってはインフラの整備を担い財政確保の課題を抱えていることは事実であっても、国民に安く安全な水を届ける、貴重な水資源を守るという観点は保持すべきである。もし「新自由主義」などの理屈をつけても、これでは、国、国民を売る売国奴でしかない。

 そしてさらに驚くのが、日本の行政府は、日本の買い漁りを狙う国際的企業による攻撃に対して、対抗策を考えるどころか道を開く法改定や諸政策を打ち出すことに手を貸している。自治体は水事業について、災害時の修復や老朽施設の補修などインフラ運用について責任を負っており、これらを含めて民営化すれば、リスクが大きくなる。これまで国際的巨大企業が参入を控えてきたのは、そのリスクがあったからである。

 そこで、インフラなどの所有権は自治体に持たせる一方、民間事業者に運営権を与え、検針や料金徴収の業務による収入を事業者のものとする「コンセッション方式」が導入される。民間事業者が料金自体を決定できることになるため、料金の値上げによって支払不可能になった世帯への供給停止も問題になってくる。

『日本が売られる』のなかでも、下記のような法の仕組みが準備されてきたことが報告されている。

「企業に公共水道の運営権を持たせるPFI法の可決」
「企業に運営権を売った自治体への、地方債の利息免除等の優遇策」
「水道料金の事業者による料金変更権の付与」

 さらに、自治体がその運営権を「民間事業者に売却する際には、地方議会の承認不要権」の特例などを準備している。これらはいずれも、国際的巨大企業が水道事業に参入しやすくする対応策でしかない。立憲民主国家にとって、基礎となる国民や自治体の権限をないがしろにする法律といえる。

 今回報告するのは、上記コンセッション方式に似通った、ごみ処理事業における民営化である。自治体がこの運営権を事業者に売却し収入を得るというものではなく、巨額のお金をつけ委託する方式だが、これまで自治体が担ってきた事業を民間巨大企業に譲り渡すという点ではコンセッション方式と共通している。民間事業体への民営化が行われれば、もちろん外資による参入に扉を開くことにつながる。

 長期包括契約が導入されつつある東京三多摩地区の柳泉園組合の事例を取り上げながら、長期包括契約の実態を明らかにし、自治体の下で運営されていた公共事業が民営化される問題と背景を考えたい。
(文=青木泰/環境ジャーナリスト)

※次回へ続く

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