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日本の「ごみ処理」が売られるⅠ(3)

東京3市のごみ処理民間委託で疑惑浮上…焼却炉改修工事、必要性を偽装し多額税金投入

文=青木泰/環境ジャーナリスト
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 行っていないのに、修理箇所を想定し、それにかかる費用を算定していたのである。つまり、まったく必要性を調査していない大規模改修工事の必要性を偽装し、長期包括契約を結ぼうとしていたのだ。

 そして問題はこれにとどまらなかった。契約予定価格の6割をも占める大規模改修工事について、入札後、受託する(予定の)民間企業に工事内容を任せ、大枠の予算は保証するという、まったくの丸投げ対応を行っていたのである。

 通常は、(1)「工事の必要性の有無」→(2)「工事個所の特定」→(3)「工事にあたっての企画や設計図の作成」→(4)「予算の見積もり」と進めていくが、(1)から(3)までをまったく抜きで予算だけを決め、委託決定した業者に丸投げするという対応を取っていたのである。

 そこからわかるのは、官民癒着の長期包括委託契約であり、民営化が百数十億円もの契約金額を目当ての事業者に振舞うだけの行為であった。

『日本が売られる』(堤未果著/幻冬舎)に示される動きを見ると、これまで先達たちが営々と築いてきた社会の基礎を、当面の利害得失のために売却していくという動きが見える。かたちが違うが、私たちがごみ処理問題で直面している長期包括契約という民営化も、進めようとしている政治家や首長、役人が自己の利害のために平気で「ごみ処理」事業の売り払い、民営化行為に走ろうとしているように見える。

 タガの外れた長期包括契約の推進者たちは、官民癒着の犯罪行為に手を染め始める。

 この問題で柳泉園組合の責任者だった助役は、すでに処分(減給)を受け、入札して落札した事業者Aと契約事業者Bは異なっているという前代未聞の不可思議が続いている。入札事業者は本契約前に別会社に吸収合併され、企業体として消滅。入札審査過程は情報非公開で、審査委員会の議事録はその審査過程の記録すらとっていない。柳泉園組合の現在の焼却炉を建設した事業者Cは、事業者Aや事業者Bと同じく住友重機械工業の資本系列である。

 行政組織に関与する職員の倫理が疑われるような状況下での民営化、そして日本の資源が売られることが続いている。次回(日本の「ごみ処理」が売られるⅡ)は、その事実をお知らせしたい。
(文=青木泰/環境ジャーナリスト)

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