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『下町ロケット』“最終回詐欺”批判を恐れない自信と矜持…勧善懲悪とは異なる世界観

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日曜劇場『下町ロケット』|TBSテレビ」より
 昨年12月23日に放送された最終回の平均視聴率が自己最高の16.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、有終の美を飾ったドラマ下町ロケット』(TBS系)。


 しかし、佃製作所&帝国重工の「ランドクロウ」vs.ギアゴースト&ダイダロスの「ダーウィン」という無人農業ロボット対決は決着がつかず、新潟の殿村直弘(立川談春)と農業法人の対立も終結しなかった。つまり、賛否は承知の上で、最初から本当の最終回は1月2日の「新春ドラマ 特別編『下町ロケット』」として制作していたことになる。

 これは、「『最終回詐欺』なんて批判を受けても視聴者は減らない」「正月の放送にふさわしい見応えのある結末を用意している」という自信によるものではないか。

 そんな自信あふれる“新春ドラマ”の放送前に、これまでの物語と意図や誤算をあらためて振り返り、その結末を予想していく。

「佃プライド」がフィーチャーされた理由


 今シリーズは2015年の第1シリーズ以上に、佃製作所のピュアな職人魂(佃プライド)がフィーチャーされていた。社長も社員も、実直で一生懸命。ひどい仕打ちを受けても、無慈悲な裏切りを受けても、報復などは考えず、職人としての仕事を追求していた。

 これは、今シリーズが単純な勧善懲悪ストーリーではないことが関係している。まず、巨大企業の帝国重工=悪というわけではなかった。財前道生(吉川晃司)と藤間秀樹社長(杉良太郎)は善、的場俊一(神田正輝)と奥沢靖之(福澤朗)が悪という図式。ただ、その的場と奥沢も、巨悪というより大企業に必ずいるような小悪党にすぎない。

 さらに、無人農業ロボットのライバルである「ギアゴースト」の伊丹大(尾上菊之助)と「ダイダロス」の重田登志行(古舘伊知郎)も、的場への復讐心を燃やしているだけであって、根っからの悪というわけではないだろう。

 ゆえに、佃製作所が善、的場と奥沢、伊丹と重田を悪とみなして倒したところで、それほどのカタルシスはない。これまで池井戸潤原作のドラマシリーズが武器にしていた勧善懲悪の世界観とは異なることがわかるのではないか。

 佃製作所は、「小悪党を退治する」より「職人としての仕事を全うしている」からこそ、魅力を放っているのだ。

メッセージつきのわかりやすい伏線


 ただ、そんな佃製作所の仕事ぶりにリアリティはない。ビジネスシーンでは、取引先やライバル企業にやられっ放しではいられないし、それが原因で「社員が残業ばかりしている」という描写は時代錯誤だ。むしろリアリティは、辛い仕打ちを受けて「やり返してやる」と燃える伊丹や重田のほうに感じられる。

 佃航平社長(阿部寛)と社員たちの仕事ぶりは、“古き良き日本人”を思わせるファンタジーに近い。実際、彼らが「どんなピンチに追い込まれても、憎まれ口すら叩かず、正々堂々と勝負して、最後に勝つ」ことを視聴者もわかっているのではないか。

 また、見逃せないのは、最終回の最後で、伊丹に「ダーウィン」のモニター農家から不具合を訴えるメールが届いたシーン。これは制作サイドから視聴者に、「特別編で『ランドクロウ』が『ダーウィン』に勝ちますよ」「伊丹や重田が負けて悔しがる姿が見られます」「正月らしくスカッとさせますので安心して見てくださいね」というメッセージに見えた。そんなメッセージつきのわかりやすい伏線を受け取った上で楽しむのが『下町ロケット』の醍醐味ともいえる。

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