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沖田我竜コラム

六代目山口組・司組長から配られる「5000円のお年玉」が持つ意味

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「Getty Images」より

 12月31日の大晦日。毎年、六代目山口組では午後11時ごろになると、兵庫県神戸市灘区にある六代目山口組総本部にはプラチナと呼ばれる直参組長らが結集し、六代目山口組・司忍組長と共に新年を迎えることになるのである。

 司組長が総本部と同じ灘区にある護国神社へと初詣する姿は毎年メディアによって報じられているが、参詣を済ませた司組長一行は直参組長らが待つ、総本部へと戻るのである。

 直参組長らはその帰途を待ち、総本部を後にするのだが、その際に司組長から各二次団体の主要幹部3人へお年玉が手渡されるのだ。そのお年玉袋には山口組の菱の代紋が入っており、ひらがなで「つかさ」と書かれているのである。

 お年玉の中身は5000円と決まっている。だが、組員にとって金額は問題ではない。司組長から直接いただけるこのお年玉袋に価値があるのだ。

 筆者自身が現役の頃、お年玉をいただいた時には、山口組系組員として大変名誉なことだと感じたのを今でも鮮明に覚えている。

 司組長からのお年玉は、毎年12月28日に六代目山口組総本部で開催される餅つき大会でも、参加した子どもたちに配られるお菓子袋の中にも入っている。こちらも中身は5000円となっており、お年玉袋には司組長の「つかさ」と書かれている。ただ、幹部組員らに配られるものとは違い、菱の代紋は入っていない。

「以前は5000円ではなく、もっと高額でした。ただ、それを嗅ぎつけたある週刊誌が、暴力団が子どもたちに高額なお年玉を配っているという批判記事を書いたんです。そのため翌年から当たり障りのない5000円になったのですが、それにしても大変な数のお年玉を配ることになるわけで、総計では高額となるのではないでしょうか」(地元紙記者)

 五代目山口時代には直系組長だけで100人を超えていたのだが、その際には山口組総本部に部屋住みとして入っている若い衆らへ、直参組長一人ひとりから1万円のお年玉が配られていた。それだけで総額は100万円を超えたのである。

 今では、ハロウィンのときに六代目山口組が近隣住民の子どもたちに配るお菓子でさえも、社会的に問題視する声が大きくなってきている。各地の震災の際の物資支援でさえ、『暴力団による売名行為だ』と断罪するメディアまであった。組織の中にいた筆者からしてみれば、果たしてそれらの行為が本当に社会悪なのかといえば、必ずしもそうではないと思えるのだ。

 古来より受け継がれる任侠道の原点とは、困っている人を見捨てず、自身の身を削っても助けるところにある。そうした任侠道を邁進できているヤクザばかりでなくなっているのも事実だろうが、すべてのヤクザを悪として、任侠のそうした精神まで否定したところで、世の中の秩序が今よりも向上するかといえば、それは別問題と思えるのだ。法事国家である以上、法に背けば罰せられるのは当然であり、それが世間でいう暴力団ならば、より厳罰に処されるのも仕方ないだろう。しかし、それぞれの地域とともに受け継がれてきた風習を、ヤクザが行っていることからという理由だけで排除していこうという空気には違和感を感じざるを得ないのだ。

「餅つきやお年玉にしても、ヤクザへの厳罰化が進む中でいつまで続けられるかはっきりいってわからない。ただそれを楽しみにしているカタギの人たちの声も聞いたってほしいとは思う。嫌なら、餅つきもハロウィンも誰も来ないだろう」

 ある幹部が、昨今の世情について、こうつぶやいたのが印象的であった。
(文=沖田臥竜/作家・元山口組二次団体幹部)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
元山口組二次団体最高幹部。2014年、所属していた組織の組長の引退に合わせて、ヤクザ社会から足を洗う。以来、物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任侠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)など。最新小説『死に体』(れんが書房新社)が発売中。

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