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さんきゅう倉田「税務調査の与太話」

ZOZO前澤社長の「100名に計1億円お年玉」、もらうと贈与税課税の可能性も

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 元国税局職員、さんきゅう倉田です。好きなスーツは「ZOZOスーツ」です。

 ZOZOTOWNの前澤友作社長のツイートが話題になっています。そのツイートは以下のとおりです。

「ZOZOTOWN新春セールが史上最速で取扱高100億円を先ほど突破!!日頃の感謝を込め、僕個人から100名様に100万円【総額1億円のお年玉】を現金でプレゼントします。応募方法は、僕をフォローいただいた上、このツイートをRTするだけ。受付は1/7まで。当選者には僕から直接DMします! #月に行くならお年玉」

 これについて、「金銭でフォロワーを買う行為はTwitterの規約に反するから、規約を拡大解釈すると前澤さんの行為は違反である」とか、そんなことはどうでもよくて、そもそも今までPS4がもらえる同様の事例があっても違反としてアカウントを凍結されたという話は聞きませんし、これだけTwitterを盛り上げた資産家に対しTwitter社が反目することはないように思います。

 今回の件は、テレビでも取り扱われていましたし、「Yahoo!ニュース」にもなっていました。Yahoo!ニュースで取り上げられた記事に言及しながら、今回の件の税法上の取扱いを解説したいと思います。

 あるスポーツ紙の記事で、100万円をもらうと「ZOZOのイベントなら一時所得にあたり所得税がかかるが、前澤氏個人からなら贈与になり非課税」という、いい加減なことが書いてありました。

 税理士とかが書いて間違ったのではなく、おそらく税金に興味のない人が適当に書いたように思われますが、謝った情報を一般市民に流布するのは勘弁願いたい。

 税金のルールはとてつもなく膨大、かつ複雑で、毎日税金のことを考えている僕や、税理士でも誤ることがある。だから、情報や知識を流すときは、かなり校閲するわけです。Yahoo!ニュースに掲載されていた先のスポーツ紙の記事は、きっと専門家に意見を聞かずに適当に書いており、適正な申告納税を妨げるのではないかと危惧しています。

 僕自身のTwitterにも書きましたが、相続税法の基本通達に、「年末年始の贈答で社会通念上相当なものは贈与税を課さない」とあります。「お歳暮やお年玉には税金をかけない」と解釈できます。では、前澤さんからの自称“お年玉”はこれに該当するのかというと、それは難しいように思います。

 赤の他人からもらう100万円は、社会通念上相当な金額ではありませんし、贈与のタイミングが「1月7日の締切後にダイレクトメッセージで当選を知らされたとき」とすると、年始でもない。贈与税の非課税のルールには当てはまりません。

 しかし、先の記事は、それとは関係なく、「贈与なら非課税」とはっきりと書いています。おそらく、贈与税に年間110万円の控除があることをなんとなく見聞きして、理由はよくわからないままとりあえず「非課税」とだけ書いたのでしょう。

 110万円は、年間の贈与に対して控除されるのであって、たとえば、前澤氏から1月に100万円をもらい、残り11カ月の間に(ほかの人からであっても)10万円以上の贈与を受ければ、贈与税がかかるわけです。この記事だけを読むと、「1回の受け取り額が100万円なら贈与税はかからない」と誤解される可能性があります。「ZOZOのイベントなら一時所得で税金がかかる」と、一時所得と贈与の優劣を書き散らしているからです。

 贈与税単独の記載ならまだしも、並べることで贈与の場合は特別に非課税になるように見えてしまいます。それでいて、一時所得で控除される50万円については言及していません。

 確かに、法人からもらう場合は一時所得で、前澤氏個人からもらう場合は贈与となりますが、安易に税金が「かかる」「かからない」ということは書かないほうがいいのではないかと、自分の普段の活動は棚に上げて思った次第です。なお、僕はフォローもリツイートしませんでした。
(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)

●さんきゅう倉田
 大学卒業後、国税専門官試験を受けて合格し国税庁職員として東京国税局に入庁。法人税の調査などを行った。退職後、NSC東京校に入学し、現在お笑い芸人として活躍中。2017年12月14日、処女作『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版)が発売された。

「ぼくの国税局時代の知識と経験、芸人になってからの自己研鑽をこの1冊に詰めました。会社員が社会をサバイバルするために必須の知識のみを厳選。たのしく学べます」

ZOZO前澤社長の「100名に計1億円お年玉」、もらうと贈与税課税の可能性ものページです。ビジネスジャーナルは、連載、の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

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