
かわいらしい動物との触れ合いを楽しめるカフェは老若男女に大人気で、とりわけ「猫カフェ」は定番のジャンルだろう。
そんななか、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を中心に話題を集めているのが、神奈川県足柄下郡湯河原町にある「まいきゃっと湯河原店」(以下、まいきゃっと)という旅館である。
旅館に猫カフェが併設されていると聞いた時点で泊まってみたくなる人も出てきそうだが、魅力はそれだけではない。なんとまいきゃっとでは、お気に入りの猫を自分の部屋まで連れて行き、共に朝まで過ごすことが可能。そう、ここは全国的にも珍しい“猫宿”なのだ。
猫好きにとってはたまらない旅館だが、そのシステムや居心地はどうなっているのか。猫カフェに行ったこともなければ、人生でペットを飼ったことすらない筆者が、まいきゃっとに実際に宿泊してみた。
宿の提供サービスは、猫の貸し出しではなく“里親体験”
まいきゃっとの最寄り駅は、JR東海道本線の真鶴(まなづる)駅。筆者は東京都内のオフィスから向かったが、所要時間は片道2時間弱と、ちょっとした小旅行である。しかし、猫の知識に疎かった筆者にとっては、トイレの片付け方法などをスマートフォンで予習するのにちょうどいい距離だったかもしれない。
真鶴駅は漁港と近く、潮の香りを感じながら10分ほど歩くと、まいきゃっとに到着した。築約30年という木造の旅館は住宅街に溶け込んでおり、レトロな佇まいに親近感が湧く。ドアをくぐり、まずはフロントでチェックインと会計を済ませる。

筆者が今回予約していたのは、2階にある定員5名の和室で、大人1名の宿泊料金は1泊4860円(税込、以下同。繁忙期や特別日は25~100%割り増し)。この部屋は本来2名からの利用が対象なのだが、1人であっても2名分の料金を支払えば泊まることができる。現に今回の筆者がそうだった。
なお、全6部屋の客室があるうち、猫を連れて行けるのは4部屋のみ。また、まいきゃっとは素泊まり専門だが、生もの以外なら飲食物を持ち込んでもOKで、寿司やピザの出前を取ることもできる。宿への道中にはコンビニエンスストアもあるため、それほど不便はないだろう。
続いてスタッフが、肝心の猫に関するレクチャーを始めてくれた。まず、10時から21時まで営業している猫カフェは、まいきゃっとの宿泊者でなくても利用可能で、1時間800円という料金設定(宿泊者は15時以降、500円に割り引き)。18時以降になると、宿泊者はカフェで出会った猫を1匹2000円で自分の部屋に連れて行くことができる。この制度は“トライアル”と呼ばれている。