
今クールの連続テレビドラマ『新しい王様』(TBS系)の第1話が8日、放送された。
謎のフリーター・アキバ(藤原竜也)はある日、中華料理屋の行列に並んでいると、ミニスカのナース服を着た若い女性・エイリ(武田玲奈)がビルから飛び降り、走り去って行く場面を目撃。男2人に追われて逃走していたエイリは、上場を目指す起業家のコウシロウ(杉野遥亮)が乗ろうとしていたタクシーに逃げ込み、なんとか追っ手から逃れる。
LINEでコウシロウの会社に呼び出されたエイリは、帰る場所がないので会社に居候させてほしいとお願いするも、すでに別の居候がいると言われ断られるが、その居候こそがアキバだったのだ。コウシロウのお使いで買い物に出るエイリにアキバは付き添い、エイリは看護師になるための学校に入学するため上京したものの、教材費などが足りずに闇金から借金をしてしまい返済できず、風俗店で働かされそうになって逃げていたという顛末を聞かされた。
そしてコウシロウが人脈をつくるために参加した有名起業家たちの集うパーティーにアキバが同伴すると、なぜか参加者たちはアキバに丁寧な口調で挨拶し、あるベンチャー企業の社長はアキバとなにやらヒソヒソ話を始める――。
気になったコウシロウは、会社に戻りアキバに何を話していたのかを尋ねると、アキバは「俺が開発した“暇な人の暇な時間を売り買いするアプリ”『ヒマジョブ』。ペットの散歩をやってくれる暇な人を探す部門を、浅草さんに10億で売った」と言う。さらに、その売却益のなかから、野生のサイを守る基金に1億円を寄付したと言い、コウシロウとエイリを驚かせる。
一方、アキバと過去に因縁のある越中ファンド代表の投資家・越中(香川照之)は、キー局の中央テレビ買収を計画し、次回予告では越中とアキバが手を組み、その買収に挑んでいくことが明かされた。
圧巻のラスト数分
同ドラマは23時56分放送開始の深夜ドラマなのだが、テンポも良くて無駄なセリフやシーンが一切なく、なぜ寒空のなかをエイリはミニスカのナース姿で逃走しているのか? アキバとはいったい何者なのか? 越中は何を企んでいるのか? など、冒頭からグッと視聴者の興味を引きつけ、その緊張感を維持したまま一気にエンディングまで引っ張っていく。そのなかで、各登場人物たちのキャラクターを紹介しながら伏線を張り、コメディ的な要素も散りばめられ、さらには香川と藤原の冴えわたる演技がドラマ全体を引き立たせ、とても良質なエンタメ作品に仕上がっている。
少なくても前クールのゴールデンタイム・プライムタイムに放送された各局の連ドラと比べても、“見応え”という点では勝っており、「なんで、こんな良い作品を深夜に放送するの?」と疑問を感じるほど、極めてクオリティーの高いドラマといえるだろう。