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リポビタンやリアップの大正製薬、オプジーボ開発会社の事業を買収へ

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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リポビタンやリアップの大正製薬、オプジーボ開発会社の事業を買収への画像1リポビタンD(「Amazon HP」より)

 最近、わが国の大手製薬メーカーが、生き残りをかけて積極的にM&Aに打って出るケースが目立つ。国内で少子・高齢化、人口の減少が同時に進むなか、製薬メーカーが生き残っていくためにはどうしても企業体力を拡充する必要がある。特に、新薬開発力を維持するには、相応の企業規模が欠かせない条件になるからだ。

 武田薬品工業に加え、大正製薬ホールディングスも海外での買収に関して合意に近づいている。わが国の製薬メーカーが自助努力で海外市場に進出し、その国にあった製品やサービスを提供するには時間がかかる。その間にも競争は進む。また、ゼロから自前で海外進出を行うリスクは高い。それに比べ、実績のある企業、あるいは事業を取得したほうが効率的と考えられる部分が多い。製薬業界を中心に、海外事業を強化して持続的な成長を目指そうとする企業は増えていくだろう。

生き残りをかけ買収を行う大正製薬

 
 生き残りのために、国内第11位の製薬企業である大正製薬が、米ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)が運営するフランス市販薬事業の買収を目指している。この買収は、企業全体を買収するのではなく、買収を行う企業の成長に資すると考えられる事業を取得する、カーブアウト型の買収だ。カーブアウト型買収の場合、企業が重点分野に位置づける事業とマッチする資産を取得することで、的を絞って成長戦略を強化することができると期待される。

 大正製薬は、国内市販薬事業を主力にしてきた。主な商品には、リポビタン、パブロン、リアップがある。こうした商品は、テレビコマーシャルで多くの人におなじみだ。それだけ、ブランドの認知力が高いということである。それは、同社の成長に欠かせない。

 ただ、長期的に見て国内で収益を獲得するビジネスモデルの持続性が高いとはいえない。なぜなら、わが国の経済が縮小均衡に向かっていると考えられるからだ。人口の減少などに伴い、需要は低下していくだろう。

 そのなか、企業が国内事業から収益を獲得し持続的な成長を目指すことは難しい。市販薬をコア・コンピタンスとしてきた大正製薬が、新薬開発を主力とするバイオ医薬品企業を目指すことも現実的ではない。そのため、海外でより高い収益が見込める事業を買収するなどする必要がある。まさにそれは、企業の生き残りを目指した取り組みといえる。

 海外での買収戦略は、同社の経営に大きな影響を与える。海外での事業展開には、わが国の発想が通用しないことも多い。変化に対応するためには、経営者のマインドセットを大きく変える必要が出てくるかもしれない。状況によっては、経営の専門家を招き、戦略の執行を任せる必要もある。そうした変化に前向きに取り組むことが大切だ。

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