ソフトバンク、巨額負債削減のため上場強行→株購入者全員に損をさせた孫正義の倫理的責任


 ソフトバンク技術担当の宮川潤一副社長は12月19日の新規上場後の会見で、基地局の一部で使用しているファーウェイ製品の置き換えによる影響について、「最悪の話をすると1000億円ぐらいになる」と述べた。すべてを交換すると更新投資が1000億円に膨らむことを示唆したとみられている。とてつもないコスト増を投資家は憂慮している。

 ソフトバンクは、悪材料が降り積もるなかで新規上場に踏み切ったわけで、“強行上場”との声もあがっている。

SBGの保有株の下落で露呈した株価頼みの経営の危うさ

 18年12月26日の東京株式市場でSBGの株価が、一時前日比3%安の6803円まで下がった。7000円の大台を割り込むのは16年12月以来2年ぶり。SBG株は26日まで6日続落で、6日間の下落率は19%。同じ期間の日経平均株価の下落率(10%)を大きく上回った。なお、大納会の終値は7305円だった。

 米国発の世界的な株安が、投資会社としての性格を強めるSBGに逆風になるとの見方が強まり、保有株の下落を懸念した売りが膨らんだ。

 SBGが傘下の投資ファンドを通じて保有する米半導体エヌビディアは11月末比22%安。アリババ集団の米預託証券(ADR)も18%安に沈んだ。

 保有株の下落は、SBGの利益計画を狂わせることになる。保有株が上昇するという前提で収益計画を立てているからだ。

「『来年(2019年)は日本経済が経験したことのないレベルの営業利益が出せる』。SBGの孫正義会長兼社長は(18年)11月、決算発表時に豪語した」(18年12月9日付日本経済新聞)

 トヨタ自動車の19年3月期通期の営業利益は2兆4000億円の見込み。それを上回る営業利益を叩き出して「日本一」になると宣言した格好だ。

 SBGの18年4~9月期の連結営業利益は1兆4207億円。このうち4割弱はアリババ集団株式などの「未実現評価益」が占める。投資先の企業価値を四半期ごとに評価し、値上がり分を会計上、利益として計上する“孫マジック”である。持ち株を売らなければ実現益にはならず、キャッシュ(現金)は生まない。投資先の未実現評価益を積み上げていけば、トヨタでさえも達成したことのない営業利益を確保できると豪語したのだ。

 大化けする可能性がある一方、損失を出す恐れもあるのが、株式の評価益の宿命だ。保有株の下落が続き、もし、保有株の評価損が出るようなことがあれば、「営業利益日本一」の野望は、あっという間に潰える。

 保有株の株価に頼った“孫氏の商法”の欠陥が、はからずも露呈した。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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