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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

日本の野菜が栄養不足になってしまった“深刻な理由”

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

オーガニックの普及で改善する

 微生物がつくっていたそのような要素が不足するのであれば、それらを化学的に合成して土に入れればいいと考えがちですが、今わかっていることは、自然界のごく一部でしかありません。そのため、それらを投入したからといって作物が元気に育つとは限らないのです。自然の営みは、非常に大きなサイクルで回っています。人間も、その一部です。だから、私たちが健康でいるためには、その大きなサイクルの一部として、そのサイクルの中でつくり出されたものを食べることがもっとも合理的なのです。

 そのような要素をすべて満たすには、農業をオーガニックなものに戻すしかありません。結局、そのほうが先の先まで見通した場合は有利になると判断した人たちが今、有機農業・オーガニック農業に取り組んでいるのです。

 化学肥料にしがみついている人たちは、ある意味、農薬や化学肥料のメーカーと、それを販売する企業に体よく騙され、洗脳されているだけです。この話をすると必ず「そんなことを言っていると、全人類の食料が賄えなくなる」と、まったく合理性のないことを言いだす人がいます。しかし、よく考えていただきたいのは、私たち人類は生産された食料のうちの3分の1を棄てているという現状です。それを考え直し、行動を変えれば、全人類は飢えることがない、ということがわかると思います。

 ヨーロッパやアメリカでは、オーガニックに対する意識は、大きく変わってきているようです。たとえば、アメリカの家庭の80%はオーガニックフードを購入したことがあるといいますし、フランスでは2022年までに学校給食での食材のオーガニック比率を50%にまで引き上げることを法律で定めています。国ぐるみで、国民の健康のことを考え、それに大きな影響を与える「食」に、真剣に取り組んでいることがわかります。日本においても、いくつかの自治体が学校給食の改革に取り組んではいますが、まだまだ少数で、特殊な扱いといった状況です。

 しかし、多くの人たちが現状の農業のあり方に疑問を呈し、持続可能ではないということに気づき始めました。「このままではいけない」と立ち上がって、周囲の偏見にも負けずにオーガニック農業に取り組んでいる農家の方々もいらっしゃいます。

 筆者は昨年暮れにも、そのような農家の方々に会いに行き、現状をつぶさに見てきました。結論からいうと、日本でのオーガニック農業は十分に可能性があります。実際に取り組んでいる農家の方々も、手ごたえをつかんでいます。

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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