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成馬零一「ドラマ探訪記」

『いだてん』期待を超えるスケール感で懸念払拭…過去のクドカンドラマを彷彿とさせる仕掛け

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 1月6日、大河ドラマいだてん~東京オリムピック噺~』(NHK)が始まった。

 物語は、1964年の東京オリンピック開催に向けて尽力した田畑政治(阿部サダヲ)と、マラソンの父といわれた金栗四三(中村勘九郎)を主人公としたドラマだ。

 舞台は東京オリンピック開催間近の1959年からスタートし、50年前の1909年にさかのぼる。柔道の創始者・嘉納治五郎(役所広司)は日本初のオリンピック選手を派遣するために、選手選考会を羽田で開催。そこでマラソンの世界新記録を達成したのが、金栗四三だった……。

 チーフ演出は井上剛。音楽は大友良英、制作総括(チーフ・プロデューサー)は訓覇圭。そして、脚本はクドカンこと宮藤官九郎。2013年に放送された連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)をつくったチームが再結集した。

『あまちゃん』チームが大河ドラマ、しかも題材がオリンピックという話題性ゆえに注目されていたが、期待を超える壮大なスケールの物語となっており、最高のスタートを切ったといえるだろう。

『あまちゃん』がアイドルとインターネット、そして東日本大震災を通して現在の日本を描いたのに対し、『いだてん』がオリンピックを通して描くのは、明治から昭和にかけての日本という近過去だ。

 テンポの良い笑える会話劇で現代風俗を切り取ってきた宮藤が、過去を描くとどうなるのか? これは若干の懸念材料だった。

 しかし、時間と空間を自由自在に移動する展開や、複数の登場人物が複雑にからみ合う姿を見せる多視点群像劇は健在で安心した。物語のスケールが大きくなったことで、宮藤の作家性がより際立っているといえるだろう。

 何より、宮藤が得意とするバカな男の子たちの物語になっていたのがうれしかった。

過去のクドカンドラマを彷彿とさせる場面が多数

 宮藤が初めてプライムタイムで連続ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)を書いた2000年当時は、まだまだ華やかな恋愛ドラマが主流で、主人公の多くは都会で働く女性だった。

 そんななか、宮藤が描いたのは東京の池袋を根城とするカラーギャングやヤクザたちの登場する、男の荒々しい世界だった。その後、2002年に手がけた『木更津キャッツアイ』(同)では、千葉の木更津という郊外を舞台に、20歳を過ぎても地元でブラブラとしている若者、現在ではマイルドヤンキーなどと呼ばれるような男の子たちをジャニーズアイドル主演で描いたのが画期的だった。

 宮藤が描いた男の子たちのコミュニティは、後にチーム男子などといわれ話題となり、今ではイケメンドラマのひとつの型となって定着している。

 それは、東京を舞台とした華やかな恋愛ドラマが失速し、代わりに地元に根ざした仲間同士の絆を描いたものに視聴者が価値を見いだす時代の始まりだった。

 近年の『あまちゃん』や『監獄のお姫さま』(同)では女同士の世代を超えた友情も描かれるようになったが、『いだてん』を見たときにまず思ったのは、過去のクドカンドラマで描かれた男の子たちの物語が大河ドラマで展開しているということだ。

 たとえば、嘉納治五郎が出会う野球愛好家の団体・天狗倶楽部。スポーツを愛好する青年男性たちのサークルは実在した団体だったようだが、彼らのバカ騒ぎをする姿を見ていると、『木更津キャッツアイ』に登場した男の子グループを思い出す。

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