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成馬零一「ドラマ探訪記」

『いだてん』期待を超えるスケール感で懸念払拭…過去のクドカンドラマを彷彿とさせる仕掛け

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 あるいは、後に落語家の古今亭志ん生となる美濃部孝蔵(森山未來)を中心とした浅草の町並みとそこに集う粋な人々の姿は『池袋ウエストゲートパーク』に登場した人々を思い出させる。

 この浅草パートでもっとも重要なのは、孝蔵の師匠である落語家の橘家圓喬を演じるのが、宮藤の師匠である大人計画・主宰の松尾スズキだということだろう。松尾スズキは『NHK大河ドラマ・ガイド いだてん 前編』(NHK出版)のインタビューで、孝蔵と圓喬の関係に宮藤と松尾の関係を重ねているのではないかと語っていたが、語りも担当する志ん生を演じるのが宮藤が尊敬するビートたけしであることを考えても、宮藤の自伝的な部分も入ってくるのではないかと思う。

 何より、落語といわれて思い出すのが、宮藤の代表作『タイガー&ドラゴン』(TBS系)である。おそらく、この落語家パートによるツッコミ視点があるからこそ、オリンピックというナショナリズムに直結する扱いが難しい題材も、書くことができるのだろう。

『いだてん』は宮藤官九郎の集大成に

 このように過去のクドカンドラマを彷彿とさせる場面が多数あるのが『いだてん』のおもしろいところで、宮藤にとっての集大成となることは間違いないはずだ。

 一方、オリンピック開催に向けて嘉納治五郎が奔走する姿は、『陸王』(同)の役所広司が嘉納を演じているだけあって、池井戸潤原作の企業ドラマを見るようにも楽しめる。ほかにも、生田斗真、神木隆之介、綾瀬はるか、杉咲花、橋本愛など主演級の役者が多数登場しており、彼ら一人ひとりを描くだけでも充分、連続ドラマになりそうだ。

 この全員主人公とでもいえるような多様性こそが、クドカンドラマの本質といえるだろう。1年間、楽しみである。
(文=成馬零一/ライター、ドラマ評論家)

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