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小黒一正教授の「半歩先を読む経済教室」

国債の国内消化の限界はいつ頃か

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一般政府総債務の上限を定める重要な変数

 ところで、各部門の金融資産の合計額と金融負債の合計額は基本的に一致し、「一般政府部門の金融資産+企業部門の金融資産+家計部門の金融資産+海外部門の金融資産+その他部門の金融資産=一般政府部門の金融負債+企業部門の金融負債+家計部門の金融負債+海外部門の金融負債+その他部門の金融負債」という関係式が成立する。

 これは、「家計部門の金融純資産+その他部門の金融純資産=一般政府部門の金融純負債+企業部門の金融純負債+海外部門の金融純負債」という関係式と同等でもある。図表1では「一般政府部門」「企業部門(非金融法人)」「家計部門」「海外部門」という4部門しか登場していないが、これらのほかにも、資金仲介を担う「金融機関部門」や、非営利活動を行うNPO等の「対家計民間非営利団体部門」という2部門が存在し、この両部門が上記の関係式に登場する「その他部門」である。

 なお、上記の関係式は、「家計部門の金融純資産=一般政府部門の金融負債+△」とも表現できる。この△は、「企業部門の金融純負債+海外部門の金融純負債-(一般政府部門の金融資産+その他部門の金融純資産)」を簡略的に表記したものだが、図表1の数値を利用すると、△は200兆円となる。企業部門の金融純負債などが変化すると△の値も増減するが、この△が最小となる値(プラスの値)を「△最小値」と表記すると、「一般政府部門の金融負債<家計部門の金融純資産-△最小値」という不等式が成立する。これは、一般政府総債務の上限は「家計金融純資産-△最小値」となることを示唆し、財政の持続可能性との関係で「△最小値」は極めて重要な変数となる。

財政・社会保障の改革の必要性

 では、「△最小値」はどの程度の値であろうか。これは、なかなか予測が難しい問題だが、極端なケースとして、例えば「△最小値」がゼロ兆円となるケースを考えてみよう。

 このとき、△のうちの「一般政府部門の金融資産」や「その他部門の金融純資産」が大幅に増加しない限り、「企業部門の金融純負債」や「海外部門の金融純負債」が合計で200兆円も減少する必要があるが、現実的な減少幅ではないと思われる。

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