湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

米国による中国への経済制裁が、逆に中国の半導体「国産化」を加速する


 JHICCでは、2017年10月に第1棟が完成し、2018年後半に装置の導入を開始して汎用DRAMの生産をはじめ、2019年には月産10万枚の規模に拡張する計画である。JHICCと技術提携しているUMCが試作している先端DRAMの歩留りは50%を超えた模様である。また、イノトロンも2017年に第1棟が完成し、2018年第一四半期に装置が搬入され始め、モバイルDRAMの量産立ち上げを行っている。

 そして直近では、台湾のホンハイと子会社のシャープが、中国に最新鋭ロジック・ファウンドリーを建設することが明らかになった(2018年12月21日付日経新聞より)。ホンハイと珠海市は2018年8月、半導体設計業務や設備などの分野で戦略提携に調印し、両者による総事業費は1兆円規模になる見込みである。

米国のJHICCへの攻撃

 米国は、モバイルDRAMを立ち上げようとしているJHICCに対して、次のような攻撃を行っている。

 まず、米商務省は2018年10月29日、JHICCに対して、米国製の製造装置の輸出を規制すると発表した。これにより、アプライドマテリアルズ、ラムリサーチ、KLA-Tencorの製造装置の輸出ができなくなった。これら米国製の製造装置は、日本の製造装置で代替できるものも一部はあるが、その多くが代替できない。その結果、JHICCはDRAMの開発と製造が困難になった。

 また、米マイクロンは2017年12月4日に、米カリフォルニアの連邦裁判所に、UMCが技術を盗み、それをJHICCに渡していた容疑で民事訴訟を起こした。そして、米国の連邦大陪審が2018年11月1日、UMCとJHICCを起訴した。

 その結果、UMCはJHICCへの技術協力を大幅に縮小することになった(2019年1月5日付日経新聞より)。JHICCへ協力する約300人のUMCの技術者に対して人員削減が通知され、約140人が配置転換されるという。

 こうしてJHICCは、米国製の製造装置を導入することができず、UMCの技術協力も寸断され、DRAMの開発と量産への道が閉ざされてしまった。米国のこのような攻撃は今後、長江ストレージやイノトロンにも及ぶ可能性がある。

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