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『ハケン占い師アタル』最大の見せ場・占いシーンが「薄っぺらい」「微妙」という根本的問題点がアダに

文=吉川織部/ドラマウォッチャー

 杉咲花が主演を務める連続テレビドラマ『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系)の第2話が24日に放送され、平均視聴率は前回より1.2ポイント減の10.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。

 このドラマは、あらゆるものが見える能力を持つ派遣社員・的場中(まとばあたる/杉咲)が、その能力を駆使して周りの正社員たちが抱える悩みを解決していくお仕事コメディードラマ。『家政婦のミタ』『過保護のカホコ』(ともに日本テレビ系)などを手掛けた人気脚本家・遊川和彦が脚本と演出を担当する。

 第2話では、間宮祥太朗演じる目黒円にスポットが当たった。目黒は決して悪い人間ではなく、ことさら無能なわけでもないが、父親のコネで入社したために周囲からは疎んじられており、まともな仕事を任せてもらったことがない。だが、本人はそんな空気に気付いているのかいないのか、いつも無邪気に明るく振る舞い、やたらと前向きだ。

 そんななか、目黒の所属するチームにある仕事が回ってくる。特撮ヒーロー番組『キセキ戦隊ミラクルヒーロー』の新グッズを発表するイベントのコンペに急きょエントリーすることになったのだ。昔から『ミラクルヒーロー』が大好きだった目黒は、自分が企画書をつくると言って張り切り出す。だが、中堅社員の上野誠治(小澤征悦)は、空気を読まずに一人で張り切る目黒の態度にイラっと来てしまい、「誰もお前のこと仲間だと思ってねえから」と言い放つ。打ちひしがれた目黒を見かねた神田和実(志田未来)は、アタルの不思議な能力のことを彼に教える――という展開だった。

 1話のなかで社員の一人にクローズアップし、その人が抱える問題点を描いてからアタルにそれを指摘させ、その後なんらかの良い変化が生まれるまでを描く――というパターンは初回と同じ。ドラマに登場する社員は部長の代々木匠(及川光博)を含めて7人いるため、今後も1話で1人ずつ描き、残りの回で隠されたアタルの過去を描くという構成になるものと思われる。

 第2話については、「意外と良かった」「目黒の境遇にちょっと泣けた」「いい話だった」といった好意的な声が多い。前述の通り、目黒は根本的に「いい人」なので、視聴者も「お金持ちの家に生まれてしまったせいで本当の友だちがいない」「幼少期に母親が死んでしまったせいで孤独を感じている」という設定に同情してしまう。周囲に認められようと必死に努力し、本人なりに明るく前向きに振る舞っているのに、まったく理解されない目黒の姿はかわいそうでならない。空虚さを感じさせる間宮の演技も素晴らしく、ぐいぐい話に引き込まれた。

 一方、アタルの占いについては「なんか微妙」「薄っぺらい」「そもそもあれって占いか?」といった批判の声もある。アタルが占いの時だけ人が変わったように言葉使いが荒くなり、態度も悪くなる点については前回も触れたので省略するが、それを除いても疑問が大いに残る。

「もうそういうのしないんで」と、占うことを拒否していたのに、あっさり目黒を占うことになる流れも強引だったし、「3つの質問」に対する答えも少々無理があった。なかでも、幼少期に母親を失い、それ以来人に褒められたことがないという目黒に「パパのほうが何倍もつらかったかもしれないだろ」と言い放ったのは意味不明。その答えで何を悟ればいいというのか。

 1つめの質問では「中身がないから人に好かれない」とダメ出ししたのに、3つめの質問では「中身が空っぽなのがいいところだから自分らしさを失わずにいろ」とアドバイスしたのも、脚本の適当さを感じる。長所と短所は表裏一体とはよく言われるが、そういう話ではないと思う。アタルが伝えようとした「自分の良さを自分で認めて、自分らしさを貫け」というメッセージ自体は素晴らしいが、いまひとつ言葉としてうまく表現できていないような気がする。

 とはいえ、ストーリーの構造はわかりやすいし、毎回誰かが人間的に成長する結末は視聴者を明るい気持ちにしてくれるので、気軽に見られるドラマとして一定の支持は得られそうだ。「アタルはなぜ過去を語ろうとしないのか」「何かあるたびにいちいち写真を撮るのはなぜなのか」「謎の占い師・キズナ(若村麻由美)と何があったのか」などの謎が明かされるのが楽しみだ。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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