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『家売るオンナの逆襲』好調の裏に漂う日テレの“危うさ”とは

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 平均視聴率は初回から12.7%、12.9%、11.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した連続ドラマ『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)。昨年、『anone』『正義のセ』『高嶺の花』『獣になれない私たち』の4作がすべて1ケタの視聴率に終わった日本テレビ『水曜ドラマ』としては、起死回生の一作となっている。

 録画やネットでの視聴が浸透した現在、視聴率は目安のひとつにすぎないが、昨年の4作は視聴者の評判も芳しくなかった。その点、『家売るオンナの逆襲』の評判は上々。刑事や弁護士が主人公のドラマが過半数を占めるなか、「家を売る」という設定と強烈なヒロイン・三軒家万智が視聴者を引きつけている。

 ただ、それでも『家売るオンナの逆襲』、ひいては『水曜ドラマ』や日本テレビには、どこか危うさを感じてしまうところがある。

既存のテーマをなぞった各話の物語

 連ドラとしての大枠は、2016年7~9月に放送された前シリーズから変わっていない。ロボットのような話し方、「ゴー!」の号令、自信過剰な態度の主人公。週替わりのゲストに「家を売りながら彼らの問題を解決する」という脚本。効果音などを多用したポップな演出。これらがブレないから、視聴者は安心して見ていられる。

 さらに今回の第2シリーズでは、留守堂謙治(松田翔太)というライバルを投入。「フリーランスの不動産屋」「万智の過去を知っている」などの気になる設定で物語のスパイスとなり、前シリーズからのマンネリを避けている。

 もうひとつ、第2シリーズでの変化で視聴者から支持されているのは、万智と結婚した屋代大(仲村トオル)のエピソード。「朝から世界各国のマニアックな料理や、一流ホテルのフルコースを食べさせようとする万智に屋代がボヤく」など、クスッと笑わせるシーンとして機能している。

 しかし、孤独死やLGBT(性的少数者)などを取り上げた各話のテーマは、これまで多くの作品で描かれてきたステレオタイプなもので、万智の解決方法も含め目新しさはない。

 たとえば、「孤独死を恐れる老人とはこんなものだろう」という世間の認識から外れず、感情をえぐるような深掘りもせず。それくらいシンプルな構成だから「60分間の1話完結ドラマとして成立できる」のだが、既存のテーマをなぞっているだけで発展性は感じない。

あえてステレオタイプに描く大御所脚本家

 同作の脚本を手がけるのは、朝ドラ『ふたりっ子』、大河ドラマ『功名が辻』、『セカンドバージン』(いずれもNHK)などで知られる大石静。前クールで視聴者ウケのよかった『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)も手がけるなど、67歳にして最前線で活躍する業界きっての大御所脚本家だ。

 大石ともなれば、新しいテーマを選ぶことも、深掘りすることもできるはずだが、あえてそれをせずステレオタイプな浅掘りにとどめているのは、視聴率のトレンドを意識しているからではないか。

 現在、主に視聴率を獲得しているのは、「1話完結」「強烈なキャラの主人公」「スカッと問題解決」の作品。また、昨夏に母娘の絆を描いた『義母と娘のブルース』(TBS系)や、子どもの命を救う『グッド・ドクター』(フジテレビ系)、昨秋に難病と愛に焦点をあてた『大恋愛』がヒットしたように、新しいものよりもステレオタイプな物語が支持されやすくなっている。

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