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セブンらコンビニが、むしろこれまで成人誌の販売を“やめられなかった”複雑な事情

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

 雑誌離れが叫ばれて久しい。コンビニにおいてもそれが顕著だ。セブンでは雑誌や書籍の販売額が06年から16年にかけて約6割減った。雑誌を縮小し、その分をほかの売れ筋商品に充てようとする動きも見られる。セブンは不振の雑誌を好ロケーションの入り口そばの路面壁側に置くが、好ロケーションではない中央什器に縮小して展開することを模索したほどだ。

 雑誌のなかでも、特に成人誌は大きく減っていると考えられる。今はインターネットで成人誌以上の情報を無料で見られる時代だ。代金を払って恥ずかしい思いをしてまでコンビニで成人誌を買う人は激減していると考えるのが自然だろう。

 成人誌もタバコ同様、ほかの商品を一緒に買ってもらえる商材だ。後ろめたさが伴うためか、成人誌を買う人は一緒にほかの商品を買うことが少なくない。飲食品や日用品のほか、成人誌を隠すために新聞や一般雑誌を共に買う傾向がある。コンビニにおける現在の成人誌の販売額は極めて限定的と考えられるが、ネットが発達する前は売り上げ増に大きく貢献していたと考えられる。成人誌が消えていくのは時代の要請とはいえ、コンビニにとっては売り上げ面では痛手だろう。

 こうしてみると、コンビニはタバコや成人誌など社会から一般的に好まれない商材で支えられて成長してきた側面があるのではないか。ほかには、健康に必ずしも良いとされない飲食料を販売していることもそうだろう。意外にコンビニでは健康を前面に出した商品は売れにくい。近年こそ健康志向の高まりを受けて、健康を前面に出した商品を各社打ち出してきているが、それまでは健康面は二の次で、とにかく売れればいいという考え方が支配的だった。しかし時代が変わり、健康に配慮した商品を求める声を無視できなくなっている。

 こういった社会的な要請による需要の変化が、コンビニの成長鈍化につながっている側面がありそうだ。そういった意味で、コンビニは転換点を迎えているといえるだろう。社会的な要請を受け入れつつ新機軸を打ち出し、新たな成長ドライバーを確立する必要があるのではないか。それが実現できなければ、ドラッグストアなどに取って代わられるだろう。コンビニは今、正念場を迎えている。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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