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現役マネージャーが語る、芸能ニュース“裏のウラ”第4回

『マスカレード・ホテル』木村拓哉のギャラは1千万円? 映画製作、カネ勘定の“カラクリ”

芸能吉之助

制作費5億の映画、ギャラに使えるのは1億5000万

 たとえば、ゴールデンタイムに放送されるようなドラマはだいたい、1話分の制作予算はざっと1000〜2000万円。わかりやすく1話1000万円だとすれば、全10話でトータルの制作費はだいたい1億円程度ですよね。1クールの連続ドラマを撮影するのにだいたい4カ月かかるから、その期間、スタッフを拘束するのにかかる経費、撮影にかかる費用などもろもろを引いていくと、最終的に役者に割ける金額が出てきます。その中で、どの役者にいくら割り振るかがプロデューサーの悩みどころ。役者に使える金額が全体の3割くらいだとしたら、3000万円。主演に1000万円かかるとなると、あとは2000万円でなんとか2番手以降の役者を揃えないといけない、というふうな計算です。

 映画の場合でいうと、すごく大きめの大作映画で制作費が5億円だとすると、宣伝費と配給手数料も同じくらいかかるから、トータルの予算は10億円。まあ、これはちょっと前の話で、今だと宣伝費はもうちょっと削られてるかもしれませんが……。そして、興行収入の半分は映画館収入として持っていかれるので、トータルで10億円かかっている映画をリクープ、つまり費用回収するためには、興行収入が20億円ないとダメ。それでやっとトントンだから、ちゃんと儲けようと思ったら30億とか40億の興行収入が必要になるわけです。

 で、5億円の映画を制作するときは、たとえばキャスト費はその3割くらいで計算すると、1億5000万円ですよね。その中から主役級(1000万円)の役者を3人揃えると3000万円、2番手クラス(500万円)の役者を5人揃えて2500万円……というふうに、キャスト費を分配していく。これが大変な作業なんですよ。

 1月18日に公開された『マスカレード・ホテル』(東宝)なんか、主演が木村拓哉さん、相手役が長澤まさみちゃんでしょう。木村さんだけで、普通は1000万円以上かかりますよね、たぶん。それだけでもすごいのに、小日向文世さん、松たか子さん、高嶋政宏さん、菜々緒さん、生瀬勝久さん、前田敦子ちゃん&勝地涼くん夫婦、そして石橋凌さんに渡部篤郎さん……友情出演だけど明石家さんまさんまで出てるでしょう。「全部でいくらかかってるんだろう?」と考えると気が遠くなりますよ。

 そして忘れてはいけないのが、主演俳優やメインどころだけじゃなくて、チョイ役やエキストラ費なんかもけっこうかかるということ。当たり前のことなんですけどね。ちゃんとしたエキストラ会社で人員を集めようとすると、1人1万円弱は払わないといけないんです。

 たとえば、あるシーンで出演者がコンサートで演奏する場面が必要だったとしましょう。1000人規模のライブシーンを、客席をびっしり埋めた状態で撮ろうとすると、そのシーンだけで1000万円かかってしまう計算になる。つまり、キムタクに払うギャラくらいのおカネをそこで使ってしまうことになるわけです。出演者のファンクラブでエキストラを募集していることが多いのはそのせいですね。そういう方法だと、ギャラの代わりにちょっとした映画グッズをプレゼントするくらいで済みますからね(笑)。

芸能吉之助/芸能マネージャー

芸能吉之助/芸能マネージャー

弱小芸能プロダクション“X”の代表を務める、30代後半の現役芸能マネージャー。趣味は食べ歩きで、出没エリアは四谷・荒木町。座右の銘は「転がる石には苔が生えぬ」。

Twitter:@gei_kichinosuke

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