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平林亮子と徳光啓子の「女性公認会計士コンビが教える、今さら聞けない身近な税金の話」

親と同居すると、支払う税金が安くなる?

文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士
親と同居すると、支払う税金が安くなる?の画像1「Gettyimages」より

 今回は親との同居と税金の関係について、女性公認会計士コンビ、先輩の亮子と税務に強い後輩の啓子が解説していきます。

亮子「結婚して、相手の親と同居するってアリ?」
啓子「うーん、今のところ、現実味がないのでわかりません(笑)」
亮子「私の知り合いで、同居している人がいるのだけど、良い面と悪い面があるみたい。それはなんでもそうかな」
啓子「そうですね。どんなことにも両面あると思います」
亮子「そういえば、税制にも親との同居によって得られるかもしれない良い点があったよね?」
啓子「では、親との同居について、税制面から考えてみましょう!」

親との同居で得られる可能性があるのは、扶養控除と小規模宅地等の特例

 親との同居が節税につながることもあります。扶養控除の適用による所得税の軽減や、小規模宅地等の特例の適用による相続税の軽減の可能性があるのです。

「扶養控除」は、誰かを扶養している分、税金負担を軽減する趣旨の制度です。一般的には子供を扶養している場合に利用する制度として知られていると思いますが、親を扶養している場合でも利用することができます。扶養控除は所得控除の1つです。一定金額を差し引くことで課税される所得を減らすことができ、その結果、所得税が軽減されるという仕組みです。同居は必須要件ではありませんが、同居していると税金の軽減度合いが高くなります。

 一方、小規模宅地等の特例とは、相続税の計算の際に使える制度です。たとえば親が亡くなって、親が持っていた居住用の土地を相続する場合。その土地は時価に基づいて評価され、その評価額に応じて相続税が課せられるのですが、この特例を適用することができれば、評価額を時価よりも低くすることができ相続税の負担を軽減することができるのです。相続税の支払いのために住み慣れた住居を手放さなくてもいいようにしようという趣旨に基づく制度です。こちらも同居は絶対ではありませんが、同居していない場合にこの制度を利用するためには他の要件を満たす必要があります。小規模宅地等については、次回、解説します。

扶養している親がいるなら同居がお得?

 親を扶養している場合に利用できるのは「老人扶養控除」です。親に限定されるものではなく、扶養する親族の年齢が70歳以上で、次の要件を満たした場合に適用可能です。

(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます)又は市町村長から養護を委託された老人であること。
(2) 納税者と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)。
(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表

平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表

1975年千葉県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部地理学科出身。
企業やプロジェクトのたち上げから経営全般に至るまで、あらゆる面から経営者をサポートしている。
また、女性プロフェッショナルに関するプロジェクト「SophiaNet」プロデューサーを務めるなど、経営サポートに必要な幅広いネットワークを持つ。
さらに、中央大学商学部客員講師として大学で教壇に立つなど、学校、ビジネススクール、各種セミナーなどで講義、講演も積極的に行っている。
『決算書を楽しもう!』 『「1年続ける」勉強法―どんな試験も無理なく合格!』(共にダイヤモンド社)、『相続はおそろしい (幻冬舎新書)』(幻冬舎新書)、『1日15分! 会計最速勉強法』(フォレスト出版)、『競わない生き方』 (ワニブックスPLUS新書)、『5人の女神があなたを救う! ゼロから会社をつくる方法』(税務経理協会)など、著書多数。
合同会社アールパートナーズ

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