沖有人「不動産の“常識”を疑え」

東京の新築マンション、高くても買うべき「値上がり確実」なエリア一覧…五輪宿舎跡地はNG?


 このなかの分譲マンションは、同時期に同じ最寄り駅のマンション価格の平均で28%高い価格が設定されてきた。しかし、驚くべきは売り出し当時の価格の高さではなく、その後の値上がり幅である。それは平均で5割値上がっている。先ほどの自宅近くの再開発に隣接するタワーマンションは、新築時の価格の約2倍になっている。

大規模再開発内のマンションの中古値上がり率(出典=住まいサーフィン)

 街開きすると、その居住価値が代替できないものであることが伝わるのだろう。なんといっても、住んでいるマンションとその敷地だけでなく、街全体が都市計画された美しさと機能性でデザインされているからだ。こうなると、新築時に少し高いと思っても買っておいて損はない。新築の場合、街ができあがる前に、いわゆる「青田」で売られるので、実際の価値を体感する前のお試し価格のようなものになっている。だから、大規模再開発は無条件に「買い」なのだ。

今後、有望な大規模再開発エリア一覧

 私の自宅のように近隣の再開発がある場合は、その周辺は便乗値上げが見込めるので、これまた「買い」になる。しかし、大規模再開発にはひとつ難点がある。できあがるまでに時間がかかり、いつできあがるのか読みにくいことだ。再開発計画は予定だけでも多数ある。渋谷・新宿・池袋などの副都心は多数の計画が以前からあるが、予定を発表できないものも多い。それだけ地権者の権利調整に時間がかかるのだ。ゆえに、気長にやるしかない。

 こうなると、見込みが立っているものを中心に考えるしかない。時期は未定のものもあるが、有望な大規模再開発エリアは以下で異論はないところだろう。あとは情報を収集するためのアンテナを立てて、早めに対応策を決めることにある。

・渋谷駅周辺
・渋谷区役所建替え計画
・品川~田町の山手線新駅周辺
・虎ノ門新駅周辺
・表参道駅直結マンション
・春日駅周辺
・豊島区庁舎跡地
・白金高輪駅周辺
・麻布十番駅周辺
・六本木駅周辺(通称:第二六本木ヒルズ)

五輪宿舎跡地のマンションは“買い”か?

 上記の一覧から、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで使用される宿舎の跡地を抜いている。大規模なマンション供給としては誰もが知ることになる物件で、注目度も高いと思われる。開発業者が東京都から購入した土地も市価の十分の一ほどで、近隣から訴訟が起きているくらいだ。それだけ安く仕入れた土地だからこそ、開発業者は通常の事業以上に利益が出ることは必至だ。こうした利益供与をしてまでつくらせるマンションだが、買いにくい理由がいくつかある。

沖有人/スタイルアクト(株)代表取締役、不動産コンサルタント

1988年、慶應義塾大学経済学部卒業後、2社を経て、1998年、現スタイルアクト株式会社を設立。マンション購入・売却者向けの「住まいサーフィン」は28万人以上の会員を擁する。「タワーマンション節税」などの不動産を使った節税の実践コンサルティングに定評があり、不動産分野でのベストセラー作家として講演・寄稿・取材・テレビ出演多数。主な著書に『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書、2012年)、『マンションを今すぐ買いなさい』(ダイヤモンド社、2013年)、『タワーマンション節税! 相続対策は東京の不動産でやりなさい』(朝日新書、2014年)など。
住まいサーフィン研究所

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