映画作品であったなら『バトル・ロワイヤル』を超えたか

 似たような設定で思い出されるのは、興行収入30億円を突破した大ヒット映画『バトル・ロワイヤル』(2000年公開、監督/深作欣二)であろうが、同作のような内容を期待してこの『3年A組―今から皆さんは、人質です―』を見続けていた視聴者は、やや肩透かしを食らった感もあるだろう。しかし、「菅田将暉だからこそ、『本当に生徒を殺したんじゃないか?』といったミスリードを誘発できたもいえる」と語るのは、あるテレビ局のディレクターだ。

「映画作品ではサイコパス役や汚れ役も厭わない菅田将暉だけに、このドラマで見せた“殺意”は、本物と錯覚するほどでした。それは、菅田将暉という天性の俳優だからなし得たこと。2019年のいま、この物語を連ドラでやるのであれば、最高のキャスティングだったと思います。逆にいえば、もしもこの連ドラが映画であったとすれば、もっと観客をしっかりとミスリードさせるようリアルな手首を使ったはず。実際、生徒を人質に取って以降の10日間を全10話で見せるという構成も、少々間延びしていますしね……。そのため、田辺誠一演じる出たがり先生のむだにコミカルすぎるパートや、回想シーンがやたら長いなど、物語的な無理がいくつか生じているのも事実です。物語の設定がとてもいいだけに、これはぜひ映画で見たかったですね。もしこれが連ドラではなく映画だったら、伝説の学園モノ『バトル・ロワイヤル』を超えたかもしれません」

 さまざまな事情を勘案しながらつくられている、今クール最大の問題作『3年A組―今から皆さんは、人質です―』。はたして、物語の中盤で露呈したこの“肩すかし感”をどのように回収するのか。しかし、菅田将暉が主演ならそんなもの簡単に回収し、見事、伝説の学園モノに仕立て上げ直してしまいそうな気がするのは、決して気のせいではないだろう。
(文=藤原三星)

●藤原三星(ふじわら・さんせい)
ドラマ評論家・コメンテーター・脚本家・コピーライターなど、エンタメ業界に潜伏すること15年。独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を中心に量産中。<twitter:@samsungfujiwara>

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