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木村隆志「現代放送のミカタ」

話題のNHK『ゾンビが来たから』に透ける、民放ドラマへのアンチテーゼと受信料への理解促進

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 そんな思惑を物語るのは、今作のホームページに書かれた「新しい価値観を持つミレニアル世代に向けて、完全オリジナルのジャパニーズ・ゾンビドラマ」というフレーズ。昨年から話題を集めている『チコちゃんに叱られる!』も含め、NHKは「堅い」イメージからの脱却を目指している。

「時間と手間のかかるオリジナル作」を「ゾンビをモチーフにして制作」、しかも主要キャストに石橋菜津美、土村芳、瀧内公美という新進の若手実力派を揃えたことからも、その意気込みがわかるのではないだろうか。

「ゾンビの大量発生による大混乱のなか、人々は問題を突きつけられ、瞬時の決断を迫られる」という展開は、「ネットの普及が進むなかで、テレビ業界が問題を突きつけられ、早期の決断を迫られる」という状態にどこか重なって見えてしまう。

「似たドラマばかり」な民放へのアンチテーゼ

 作品の肝は劇作家・櫻井智也を起用したユニークな脚本だが、演出家も負けていない。たとえば、コンビニの店内で感情をぶつけ合う主人公たちと、その後ろでガラスに「ガンガン」とぶつかって襲撃しようとする(でも全然中に入れない)ゾンビのコントラストはシュール。愚かさをさらし合う人間とゾンビの差がほとんどないように見えてしまうのがおもしろい。

 民放各局のドラマに目を向けてみると、刑事、弁護士、科捜研……どこかで見たような「スカッと1話完結」の事件モノばかり。1話の時間軸は、事件発生、容疑者浮上、伏線をチラつかせる、核心に迫る、見事解決……と判で押したような似たものであり、感情を深掘りする描写はほとんど見られない。

 感情よりも展開重視。今作は、そんなドラマを見る目が単純化しつつある視聴者と、彼らに迎合したドラマをつくる民放各局へのアンチテーゼに見えてしまう。制作費300万円で大ヒット映画となった『カメラを止めるな!』のような大化けこそ難しそうだが、見た人の心にしっかり刺さる作品となるだろう。
(文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト)

●木村隆志(きむら・たかし)
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』(フジテレビ系)、『TBSレビュー』(TBS系)などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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