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レオパレス、組織的に施工不良を主導し“犯罪的”…もっとも引越し困難な時期に退去要請

文=小林紘士/不動産ジャーナリスト
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アパートオーナーへの無配慮

 そして、同社にとってもう一方の顧客であるアパートオーナーへの配慮も欠けている。そもそも、問題のある建物を建てたこと自体がオーナーに対する冒涜だ。論外も甚だしい。

 同社はこうした施工不良について、たとえば、発泡ウレタンを使った理由について「価格は安くないが、作業効率が高い。法令違反の認識はなく、現場の施工管理体制が不十分だった」と説明している。この発言には、同社の意識がいくつも表れている。

 建築や不動産を知る者なら、発泡ウレタンのほうがグラスファイバーを使用するより安いことは誰でもわかる。この点では、コスト削減して利益を得るためではなく、作業効率を重視した結果だと言いたいようだが、作業効率を優先したから施工不良があっていいものではない。「法令違反の意識もない」とも言っているが、長年アパートなどを建築する事業者としては、そんなこともわからないなら、やはり失格な発言だ。そして、「管理体制が不十分だった」として現場に責任を押し付けるような発言もあったが、これは当然同社の責任だ。

 組織的に行わなければ、こうした施工不良が1996年から2001年までの5年間もの間に1200件を超えるアパートで起こるはずがない。通常、建物の建築にあたっては地元の建築業者に委託する。あまりあってはならないが、建物は人が建てるものであるから、委託した業者によっては、一部では監理が行き届かず施工不良となる恐れはある。しかし、全国33都府県で似たような施工不良が1200件以上あったということは、同社が主導し、組織的に行われたとしか考えられない。

 高い金額で自社のアパートをオーナーに購入してもらいながら、組織的に問題のあるアパートを提供していたなら、もはや犯罪に近い。今回の件で、またレオパレスブランドに傷が付いた。同社のアパートには入居したくないという賃貸入居希望者もより増えることだろう。この点は入居者側からすれば当然の思いだ。そして、入居者が入りにくくなれば、損害を受けるのは、やはりアパートオーナーだ。

 今回の発表では、入居者に対しては遅れ馳せながら対応を公表しているが、オーナーに対する補償などは聞こえてこない。一部オーナーとは個別に交渉も始まり、訴訟も視野に動きがあるようだが、同社としての正式な発表はない。建物は自社の責任で直す、ということだけで済まそうとしているのか。入居者の入らない期間は、対象となった物件のオーナーへ家賃保証するぐらいは当然ではないか。筆者は記者会見に臨んだわけではないので、あくまでメディアで公表された情報でしか判断できないが、オーナーに対する配慮がなさすぎる。

 アパートオーナーの言葉を代弁するなら、入居者がいない期間の家賃を保証してもらえたとしても、それでいいというものではない。これまで入居していた入居者が退去したら、その期間の家賃収入はどうなるのか。改修後、はたして新たな入居者が入ってくれるのか。家賃はこれまでと同じ程度で大丈夫なのか。今後、レオパレスという看板でアパート経営できるのか――。こうした不安や心配は尽きない。今後何十年と、建物が存続する期間中の入居者確保や家賃水準の維持に関して大幅な棄損が生じたのなら、その補償をしてほしいと思うに違いない。できることなら、アパートを買い取ってほしいと考える人もいるだろう。

 早急に、不安に思っているオーナーに対してもなんらかの発表を行うべきだ。今は何も言えない、考えていないでは済まされない。

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