復帰特別措置法の廃止を見越した動き

 オリオンの最大の経営課題は、復帰特別措置法の撤廃問題だ。1972年、沖縄県が本土に復帰するにあたり、地場産業の保護と育成を目的に設定された。特別措置法に基づき、期限付きで沖縄県内のみで酒税が減免される優遇措置がとられた。

 優遇税率は5年間の時限措置だったが、延長が繰り返されてきた。現在も県内出荷分を対象に酒税の20%を軽減している。

 これがオリオンに有利に働いた。沖縄ではビールを注文すると、かならずオリオンビールが出される。他メーカーより圧倒的に売れている。県内では5割強のシェアを持つという。それは、酒税が20%軽減されているため安く売ることができるからだ。

 優遇措置が撤廃され、本土のメーカーと同じ税率となったらどうなるか。価格を2割引き上げざるを得ない。そうなれば売り上げはパタリと止まり、オリオンビールは淘汰される可能性が高い。これがオリオンの最重要な経営課題だった。

 2002年、オリオンとアサヒビールが提携したのは、初代沖縄開発長官を務めた山中貞則氏が、措置法が切れた後に、オリオンの後ろ盾になるようアサヒを仲介したことによる。

 オリオンはすぐれて政治案件だ。措置法は時限のため期限が近づくたびに地元財界は政府に延長を求めてきた。

 地元紙の沖縄タイムス電子版(2018年7月6日付)は、「沖縄県議会(新里米吉議長)は6日の6月定例会最終本会議で、2019年5月に期限を迎える酒税軽減措置の延長を求める意見書案を全会一致で可決した。(中略)沖縄県内の酒造会社でつくる県酒類製造業連絡協議会(会長・嘉手苅義男オリオンビール会長)も5月、県に延長への協力を要請」と報じた。

 酒税軽減措置法は5年ごとに延長を続けたが、17年5月から2年に短縮された。19年5月に期限を迎える前に、地元政財界の要請により19年度の与党税制改正大綱に、酒税軽減措置の2年の延長が盛り込まれた。

 しかし、いつまでも措置法の延長を続けることはできない。今回のM&Aは、撤廃を見越した動きといえる。個人株主は、ファンド連合に株式を売却して現金を手に入れる。筆頭株主のアサヒビールにとっても、渡りに船だ。オリオンの経営の面倒を見なくて済む。

 野村HD・カーライル連合は酒税軽減措置の撤廃後、ババを掴むことになるのか。それとも秘策はあるのか。
(文=編集部)

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