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同じ会社に勤続20年以上の人、病気の罹患率高く…日本企業特有の慣行が原因か

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「Gettyimages」より

 食事、運動、受診など健康にかかわる行動では、所得の高い人ほど健康に資する生活を実践し、所得格差は健康格差を生み出すといわれている。この定説に対して、新たな仮説が発表された。

 一般社財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構(東京都港区)が昨年10月29日に開いた「平成30年度調査研究報告会」で、同機構主任研究員の高久玲音氏が「働き方の蓄積が中高年期にどう表れるのか?」というテーマに言及した。

「スタンフォード大学の調査では、リッチな人はプアな人に比べて15年ぐらい長生きするという結果が出た。アメリカでは所得が高い人ほど長生きして、学歴が高い人ほど健康で、学歴と所得は基本的に強い正相関関係があるといわれている」(高久氏)

 一般的な認識としては、日本でも同様ではないだろうか。しかし高久氏によると、必ずしもそうではないという。

「日本では、より所得を稼ぐ人ほど健康という単純な関係を見いだせない可能性もある。和田耕治先生(現国際医療福祉大学医学部教授)の調査によると、30~59歳男性の職種別死亡率では、1995年頃から専門職と管理職が増え始めてブルーカラーと逆転し、ブルーカラーは減り始めている」(同)

 日本で、社会経済的地位(SES)の高い人ほど不健康になる可能性を示唆する要因としてはストレスが有力であるというのが、高久氏の見解である。

 その根拠として、

(1)高いSESの女性は乳ガンになりやすいが、ストレスが原因となっている可能性がある
(2)ホルモン検査で客観的にストレスレベルを把握したところ、職位と正相関した
(3)高い職位に伴う人間関係の悪化が、職位と健康の関係を媒介している

など、過去に発表されてきた複数の調査結果をピックアップして紹介した。

勤続年数と健康の関係

 厚生労働省が2005年に50~59歳だった人を対象に実施した「中高年者縦断調査」でも、同様の傾向が表れている。この調査は、約3万人を05年から14年まで追跡し、職歴、糖尿病・心疾患・高血圧・高脂血症・悪性新生物の診断の有無、運動・趣味への参加などを調査した。その結果、以下の傾向が認められたという。

・学歴が高い人ほど同じ会社に20年以上勤続して中高年を迎えている。
・勤続20年以上の男性は他の男性社員よりも糖尿病と高脂血症の罹患率が高い。
・勤続20年以上の女性は他の女性社員よりもがんや糖尿病の罹患率が高い。
・同じ会社に20年以上勤務していると、年功賃金を反映して所得と貯蓄を大きく高める。
・職場の人間関係に不満足だった人ほど糖尿病などの疾患を持っている。

 こうした調査から、同一企業に20年以上勤務していた人の特徴として、高久氏が挙げるのは(1)中高年期における貯蓄率が非常に高い、(2)非感染症疾患(糖尿病、がん)などの罹患率が顕著に高いという2点。そのうえで「暫定的な結論」として、こう述べた。

「終身雇用制度では貯蓄は増えるが、労働者の健康を害する慣行が蔓延していたと推察する。おそらく長時間労働が大企業を中心に蔓延している日本に固有の結果である」

 今後、定年年齢が引き上げられれば、同じ会社での勤続年数は増加していく。「勤続19年で転職したほうが健康にはプラス」という考え方に至るとまでは思えないが、健康管理に新たな視点が投げかけられた。
(文=編集部)

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