住宅ジャーナリスト・山下和之の目

マンション、見かけ上の安さに騙されるな!専有面積圧縮や耐震性&遮音性ダウンで最悪も


 地価については、国土交通省の『平成30年都道府県地価調査』(基準地価)によると、3大都市圏の住宅地は前年比0.7%の上昇で、駅前などマンション適地とされる商業地は4.2%も上がっています。建築費も国土交通省の『建設工事費デフレーター』によると、11年度を100とした指数で18年後半は110前後まで上がり、高止まりしています。分譲会社の経費や人件費も働き方改革などが押し上げ要因になっています。

 こうした事情から、本来なら新築販売価格を上げたくて仕方ないのですが、上げると消費者がついてきてくれません。そこで、なんとか“企業努力”によって価格を微妙に引き下げつつあるのが現状です。

すでに専有面積の圧縮が始まっている!

 その企業努力というのも、実は供給するマンションの質量をさまざまな面で削ることで成立しています。不動産会社が経費削減など、自分たちの身を削って値下げしているのではないのです。消費者にとってはマイナスになる部分が大きいので、十分な注意が必要です。

 まず挙げられるのが専有面積の圧縮です。これは質量のうち、量の削減といっていいでしょう。

 図表にあるように、15年の秋から年末にかけては専有面積の平均が72平方メートル、73平方メートルだったのが、ジワジワと縮小し、17年には70平方メートルを切る月が目立つようになり、最近では64平方メートル台まで落ち込んだ月があります。3年間でおおむね5平方メートルほど狭くなっています。しかも、この1平方メートル単価が建築費の高止まりもあって、グラフにあるように上昇傾向にあります。3年前には80万円を切っていたものが、いまでは90万円近くに達しているのです。

 3年前に1平方メートル単価75万円で70平方メートルのマンションをつくると、75万円×70で5250万円です。しかし、現在では1平方メートル単価が85万円になっているので、70平方メートルのままだと、85万円×70で5950万円に上がってしまいます。そこで、70平方メートルを65平方メートルにすれば、85万円×65で5525万円に抑制できます。3年前の5250万円よりは高いのですが、最近の5950万円に比べればかなり安くなります。この見かけ上の「安さ」を前面に打ち出して売ることができるわけです。

首都圏新築マンションの平方メートル単価と専有面積の推移

(資料:不動産経済研究所『首都圏のマンション市場動向』より作成)

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