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『後妻業』視聴率4%台目前で逆に面白くなってきた!突然ドロドロのネタドラマ化

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 木村佳乃主演の連続テレビドラマ『後妻業』(フジテレビ系)の第5話が19日に放送され、平均視聴率は前回から0.3ポイント減の5.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だったことがわかった。今期プライムタイムに放送されている連続ドラマのうち、最新の視聴率でこれを下回るのは『よつば銀行 原島浩美がモノ申す!』(テレビ東京系)や『トクサツガガガ』(NHK総合)くらいしかない。

 すっかりお騒がせ女優となった真木よう子が主演する『原島浩美がモノ申す!』はどう見ても明からさまな捨て枠だし、小芝風花が特撮オタクを演じる『トクサツガガガ』は、視聴率こそ最新で3.6%と低いが、偏見を恐れてひっそりと生きているあらゆる分野のオタクに“刺さる”つくりが受けており、SNSなどで話題にされる頻度は高い。

 翻って『後妻業』はといえば、そのどちらでもない。フジテレビが火曜21時を捨て枠にしようと考えるはずもないし、出演者も人気絶頂のアイドルや若手こそいないものの、大人の視聴に堪える実績ある俳優をそろえたといえる。だからこそ逆に「もともと視聴率を狙ったわけではない」という言い訳が成り立たないのがつらいところだ。

 かといって、低視聴率ながら視聴者がSNSなどで盛り上がるカルト的な人気を博しているかといえばそういうわけでもない。ネット上に散見されるのはテレビ局の意を受けた上げ記事ばかりで、むしろいたたまれない気分になってくる。

 視聴率の話題はこれくらいにして、内容を振り返ろう。人間関係をごちゃごちゃ書いてもしかたがないのでザックリまとめると、「ようやくドロドロしておもしろくなってきた」といえる。

 後妻業の女・小夜子(木村佳乃)は認知症の資産家・富樫(佐藤蛾次郎)をいったんあきらめて元開業医の笹島(麿赤兒)に乗り換える。一方、小夜子を親の仇と思い込む中瀬朋美(木村多江)も、姉の紹介で笹島のもとを訪ねていた。笹島は建築士である小夜子にリフォームの設計を依頼したのだ。笹島をめぐって小夜子と朋美が再び激突することは必至で、いよいよ小夜子の化けの皮がはがれてしまうのか――と興味が高まる。

 朋美の夫・司郎(長谷川朝晴)が事務所スタッフの山本絵美里(田中道子)と浮気していた件も進展。絵美里は浮気を認めて開き直り、怒りと悲しみに暮れた朋美は、小夜子の調査を依頼している探偵・本多芳則(伊原剛志)とホテルで一夜を共にする。

 なんだか後妻業のストーリーと関係ないところで男女が盛り上がっているが、まあいいだろう。そもそも小夜子と朋美の対決1本で連続ドラマをやること自体に無理があったからだ。むしろ、一家全員が不倫していた『黄昏流星群』(フジテレビ系・2018年10月~12月)みたいに、最初からいたるところでドロドロを繰り広げるハチャメチャな路線を突っ走っていれば、「おバカドラマ」「ネタドラマ」として少しは評価されただろうにと思う。

 さて、対決相手の朋美が浮気しているとの報告を受けた小夜子は、後妻業の相棒である柏木亨(高橋克典)に「うちも、男に抱かれたい」とメッセージを送ろうとして思いとどまった。おそらく言外の意味は「うちも、あんたに抱かれたい」であろう。柏木は小夜子を商売の相棒としか見ていないが、どうやら小夜子は柏木に気があるらしい。ドラマのなかでこの2人の関係が展開することはなさそうだが、男女関係が入り乱れてきて楽しくなってきたのは事実だ。

 惜しむらくは繰り返しになるが、「遅すぎた」ことである。今さら人間関係を複雑にしてドロドロを繰り広げたところで、視聴者を呼び戻すのは容易ではない。このドラマ、脚本がもう少し練られていたらネットで話題になっていただろうと思うと、もったいなくてしかたがない。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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