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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

ファーウェイ、米国の企業秘密を盗んでいない可能性…中国政府とZTEに利用されたのか

文=湯之上隆/微細加工研究所所長
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ファーウェイ、米国の企業秘密を盗んでいない可能性…中国政府とZTEに利用されたのかの画像1トランプ大統領(写真:AFP/アフロ)

激化するファーウェイへの米国の攻撃

 2018年12月1日に中国通信機器大手ファーウェイの孟晩舟・副会長兼CFO(最高財務責任者)が、米国の要請によりカナダのバンクーバーで逮捕されて以降、米国によるファーウェイへの攻撃が激しさを増している。

 今年1月16日に米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、米政府がファーウェイを米企業の企業秘密を盗んだ疑いで本格捜査していると報じた。また、1月21日にカナダ紙グローブ・アンド・メール(電子版)は、米政府がカナダにファーウェイの孟副会長の身柄引き渡しを正式要請する方針を固めたと報じた(1月23日付日本経済新聞)。
 
 そして米国司法省は1月28日、ファーウェイと孟副会長を、イランとの違法な金融取引に関わった罪および米通信会社から企業秘密を盗んだ罪で起訴した(1月29日付同紙)。

 このように米国がファーウェイを攻撃する根拠として、筆者は以下のように考えていた。恐らく、多くの人も同じように理解をしていたのではないか。

(1)通信基地局の売上高シェアで世界1位のファーウェイは、中国政府の手先であり、17年6月28日に中国で成立した「国家情報法」に基づいて、中国政府の指示により米国の知的財産を盗んでいた。

(2)上記の技術盗用の証拠をつかんだ米国が、カナダへ要請して孟副会長を逮捕・起訴するとともに、18年8月13日に米国が制定した「国防権限法2019」に基づいて世界中からファーウェイを排除しようとしている。

 中国の「国家情報法」とは、中国国民約14億人と中国国籍の企業に対して、中国当局がスパイ行為を命じることができる法律である。また、米国の「国防権限法」とは、ファーウェイなど中国企業5社の電子機器や通信機器を使っている企業が、米政府機関と一切の取引ができなくなる法律である(詳細は「EE Times Japan」拙著記事『米中ハイテク戦争の背後に潜む法律バトル』(2019年1月11日)ご参照)。

 ところが、上記の理解が間違っているかもしれないと思い始めた。そのように宗旨変えすることになったのは、東京福祉大学国際交流センター長の遠藤誉先生が「Yahoo!ニュース」に書かれた記事を読んだことによる。本稿では、まず遠藤先生の驚くべきこの記事の内容を紹介する。次に、それが正しいかもしれないと考えるいくつかの証拠(傍証を含む)を提示する。さらに、「ファーウェイは米国の知的財産を盗んでいない」と仮定したら、ファーウェイという企業を、どのように理解したらよいかを論じる。

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