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中村芳子「お金のことで苦労せず、人生を楽しむためのお金の基本」

“50代”カードローン地獄が多発…年収1千万でも半永久的に年120万円返済し続け

文=中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

 最初は一括払いで利用していた人が、使いすぎたり、収入が減ったりして返済が苦しくなり、返済をリボ払いに切り替えて、残高が膨らんでしまうケースが多い。若い世代では、クレジットカードの支払いはリボ払いが一般的だと誤解していて、最初からリボ払いを使う人も少なくない。
 
 また、リボ払いを利用すると商品やキャッシュに替えられるポイントが多く貯まるため、こちらを選ぶ人もいる。おそろしい。

50代の借金問題は20代、30代より深刻

 前述のように、借金問題のご相談は年代を問わずに受けるが、年齢が高くなるほど深刻になる。収入が高い分、借入額が大きく膨らんでいることが多いのと、やり直しがききにくいためだ。

 住宅ローンは金利が低く(現在1%前後)期間が20〜30年と長いので、年収の4倍借りても無理なく返済できる。しかし、カードローンは金利が高く(15%前後なので、住宅ローンの15倍以上!)期間も数年と短いので、がんばっても自力で返済できるのは、年収の3分の1くらいまでとされる。

 年収300万円の人のカードローンの残高が100万円になると、返済期間3年として毎月4万円くらい返すことになる。これではまず貯金できないから、返してまた借りるという繰り返しになりやすい。借金がこれ以上に膨らむと、司法書士や弁護士に相談して、債務整理や自己破産せざるを得なくなる。債務整理や自己破産をすると、その後5年はクレジットカードが使えず、つくれず、住宅ローンなども借りられない。しかし、20代や30代なら債務整理でローンを払い終え、5年間じっと我慢して生活を立て直し、人生をやり直すのは難しくない(弊社は生活や支出を見直し、再出発のお手伝いもしています)。

 しかし、年収1000万円以上の50代だとこうはいかない。年収が高いため、カードローン残高が500万円に膨らむこともある。すると1年に払う利息だけで75万円。毎月の返済額は10万円を超え、家賃や住宅ローンに匹敵するが、この返済方法では、返しても返しても残高はほとんど減らない。

 年収1000万円でも貯金がないから、大きな買い物や予定外の出費は、カードで払わざるを得ない。ローン残高は減らず、年120万円以上の返済を半永久的に続けることになる。ここにさらに車のローンや教育ローンが加わることも珍しくない。退職して収入が半減すると、返せなくなることは目に見えている。
 退職前でも、子どもの大学の入学金が必要とか、引っ越すことになった、何かの事情で出費が増えた、収入が減ったということになると、まったく回らなくなる。しかし、社会的ステータスが高いため、簡単に自己破産や債務整理はできない、したくない。追い詰められる。

 では、そんな50代は借金の問題を解決するのにどうしたらいいだろう。

 次回じっくり考えていこう。もし、この問題を抱えている読者がいたら、今できることは、絶対にこれ以上借入を増やさないこと。すぐに専門家に相談すること。次回は、ふくらんだ借金にどう対応するかを考えていこう。

(文=中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー)

※個人のお金に悩みに回答する「FP相談」を承っています。FP相談、および本記事に対するお問い合わせはこちらへ。50代からのお金の質問、悩み相談も受け付けています。

中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

1985年よりFP業に携わる日本のFPの草分け。 女性FP協会(現WAFP関東)の設立者の一人、初代理事長。 1991年に会社を設立。パーソナル・コンサルティング、金融記事の執筆、金融企画のアドバイスなどを行っている。マネックス証券創業時より7年間アドバイザーをつとめる。みずほ銀行の夫婦向けマネーサイト「おうちのおかね」(2010―2016)を監修。辛口だが、お金だけにとらわれないユニークで温かいアドバイスが人気。


主な著書に『50代のいま、やっておくべきお金のこと』『20代のいま、やっておくべきお金のこと』(以上ダイヤモンド社) 『女性が28歳までに知っておきたいお金の貯め方』(三笠書房) などがある。『3日でわかる聖書』『養子でわくわく家族』『神の津波』など、お金以外の著書や翻訳もある。

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