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解決法をまちがえると大惨事に……中小企業従業員の「賃金の不満」、どうする?

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※画像:『小さな会社の〈人を育てる〉賃金制度のつくり方』(日本実業出版社刊)

 賃金が上がりにくいと言われているなかで、自分の給料に不満を持つ人が増えていることは想像に難くない。

 特に中小企業は一般的に大企業よりも賃金が低く抑えられがちである。

 『小さな会社の<人を育てる>賃金制度のつくり方 「やる気のある社員」が辞めない給与・賞与の決め方・変え方』(山元浩二著、日本実業出版社刊)によると、従業員100人未満の中小企業の平均年収は379万円。

 これは東証一部上場企業の従業員の平均年収665万円はおろか、従業員1,000人以上の企業の平均年収である500万円と比べてもかなり低い。

■中小企業でありがちな「賃金の不満」のまちがった解決法

 中小企業の経営者からすると、これは深刻な問題だ。ただでさえ人手不足に悩まされる中で、賃金に不満を持った従業員に転職されれば、残された従業員にかかる負荷は上がり、いずれは業績に跳ね返ってくる。

 こうした事情から、それまで経営者が独断で決めていた給与制度を改め、従業員に納得感のある賃金制度を導入しようと考える経営者は多い。しかし、ちょっと待ってほしい。「いきなり賃金制度導入」はかえって従業員のモチベーションを下げ、生産性を落としてしまうという失敗の元なのだ。

■「賃金に対する不満は賃金制度で解決できる」はまちがいである

 本書の著者、山元浩二氏によると、給与制度や賞与支給基準を含めた賃金制度には3つの誤解がある。その1つが「賃金に対する不満は賃金制度(=給与・賞与を支給するためのルール)を設けることで解決できる」というもの。これは実はまちがいだ。

 例として賞与のケースを見てみよう。

 従業員が賃金について不満を持っていることを察知した経営者は、業績や個人の成績に応じて賞与を支給する制度を作るという対処をしがちだが、制度を作ってもルールに添って賞与の額を決めるのに必要なはずの「評価基準」がないというパターンは多い。

 これでは賞与額が経営者の「総合的判断」に委ねられることになるため、従業員同士で「あいつより会社に貢献したのに、どうしてあいつの方が賞与がいいのか」ということになりやすいのだ。これではかえって従業員は不満を溜め込むことになってしまう。

 従業員の賃金への不満を解消するのに必要なのは、ただ賃金を上げることではない。誰もが納得する評価制度がないと、賃金を上げても従業員の不満は解消しないのだ。

■「社長の判断で賃金が決まる」が必ずしも悪いことではない理由

 一方で、経営者が社員一人一人を総合的に評価して賞与を決めることは必ずしも悪いことではない。これが賃金制度にまつわる二つ目の誤解である。

 会社が給与や賞与を決めるための評価基準を作って運用を始めると、これまで経営者だけが行ってきた人事評価の仕事は現場のリーダーに引き継がれることになる。当然、これまでやってこなかったことをやるのだから、たとえ評価基準がしっかりと作りこまれたものであっても、リーダーたちの評価スキルが追い付かない。こうなると、やはり従業員たちは納得できず不満を溜め込むことになってしまう。

 特に中小企業の場合は、評価者となる中間管理職のスキルアップがなされるまでは、「社長の判断で賃金が決まる」状態の方がまだ従業員の不満は少ないのだという。

■社員のモチベーションは賃金制度では保てない

 賃金制度についての誤解の3つ目は「賃金制度で社員のモチベーションをあげることができる」である。本書によると、これもやはり正しくない。

 賃金によるモチベーションアップには持続性がないのに加え、この方法で従業員のモチベーションアップを目指す会社は利益を常に人件費に費やし続けなければならない。原資の限られた中小企業ではそもそも難しいやり方だ。

 そもそも、モチベーションアップに効く要素は、賃金以外の方が多いはずだ。たとえば、「会社の発展や将来性への期待」「自己成長の実感」「目標達成の充実感」「まわりからの称賛」「お客様からの感謝のことば」「仕事を通じた貢献意識」などが考えられる。しかも、これらの要素でモチベーションを上げる仕組みをつくることにほとんどお金はかからない。本来、真っ先に着目すべきなのだ。

 ここでは「賃金制度」にまつわる誤解を紹介したが、賃金制度を従業員のやる気を引き出し業績アップにつながるものにするためには評価制度が不可欠で、評価制度を作るには「会社をこうしたい」という経営者のビジョンが必要になる。

 本書では、そのビジョンの策定から、評価制度の策定、そして賃金制度の具体的な策定と運用法まで紹介しており、人材不足や生産性の低さに悩む中小企業経営者に強い示唆を与えてくれるはずだ。
(新刊JP編集部)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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