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47歳で逝った妻の受けた治療は“正しかった”か? 遺された夫が語る、がん治療の現在

構成=安楽由紀子
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47歳で逝った妻の受けた治療は“正しかった”か? 遺された夫が語る、がん治療の現在の画像5滋賀の病院への診察ついでに、京都ホテルオークラにてルームサービスを。

フリーランスだからこそ、闘病に寄り添えた

――菊地さんはフリーランスのテレビ番組やCMのプランナーとして活動されています。ナオミさんの闘病中、菊地さんのお仕事には、実際のところどの程度の影響があったでしょうか?

菊地貴公 抗がん剤治療でもたいした副作用は出ず、付きっきりで看病するような必要はなかったのですが、いつ何が起こるか不安なので、自宅とは別に借りていた仕事場ではなく、自宅で仕事をするようになりましたね。仕事についても、「何日に撮影で納品がいつ」といったかたちでスケジュールが見えているレギュラーものの仕事だけを受け、予定が見えない突発的なものは、できるだけセーブ。また闘病そのものについては、仕事関係者を含め、知人に言っても心配をかけるだけだと思い、ほとんど言っていませんでした。ただ、急に仕事に行けなくなるような状況に陥るとやばいので、万一のときには別の人を立てられるよう、限られた人には伝えていました。

 こうした融通を利かせた対応ができたのは、私がフリーだったことが大きいでしょう。サラリーマンの方では、なかなかこのような対応は難しかったかもしれない。そういう意味では、フリーという私の立場のおかげでナオミちゃんと4年間一緒にいられたわけで、恵まれていたとは思いますね。

――菊地さんは東北地方の中核都市である宮城県仙台市にお住まいです。一方で、医療に関しての選択肢がもっと豊富な首都圏にご在住ではない。実際、腹膜播種の手術を行っている先生が仙台にいなかったから滋賀まで行かれたわけですが、がん治療と居住地との関連性という問題について、居住地によるハンデなどは感じましたか?

菊地貴公 2017年4月に脳に転移したときは、サイバーナイフ(放射線治療装置の一種で、腫瘍にピンポイントで放射線を照射する装置)は地元・仙台の病院にありました。逆に、その手術のために遠くから来ている患者さんもいますし、そういう意味では、地方在住だから一概に不利だ、とまではいえないと思います。滋賀の先生による手術はちょっとリスキーなので、その手術を受けると、もともとかかっていた病院では診てもらえなくなるというケースもあるそうなのですが、私の地元の東北大学病院は、「これでよくなるといいですね。引き続き抗がん剤治療を続けましょう」と迎えてくれた。これも大変ありがたかったですね。

 いい先生も悪い先生も、患者さん次第だというところも大きいと思うんです。ナオミちゃんにとっていい先生が、みんなにとっていい先生だとも限りませんし。ナオミちゃんは、先生に全面的にお任せするというよりも、自分できちんと調べて、「こういう治療法があるようですが、どうですか?」とよく質問していました。それに対して地元の先生は、「素人なんだからこっちの言ったことだけやってればよい」といった態度ではなく、「それは私も知らなかったので、調べてみましょうか」と言ってくださるような方だったので、そういう点でも信頼できましたね。

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