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「高くなった」いきなり!ステーキ、1年で店舗数倍増→“客の共食い”で深刻な客離れの懸念

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

急拡大でサービス品質が追いつかなかったか

 そして、サービス品質の低さが致命的となった。

「Service was horrible.(サービスが酷かった)」
「After an hour and a half we got our food.(料理は1時間半たってようやく到着した)」
「We waited for 1hr and 20 mins when the restaurant wasn’t too packed and got NO FOOD.(混んでいないのに1時間20分たっても料理は出されなかった)」
「I waited one hour for my steak/three other customers who ordered got their steaks already.(私は注文したステーキが出されるのに1時間待たされた/ほかの3人の客がすでにステーキが出されているにもかかわらず)」

 サービス品質の低さは大きな問題だ。日本と同様に米国でも店舗網を短期間で急拡大させたわけだが、それにサービス品質が追いついていない。顧客の声からは、従業員教育が後手に回り、店舗オペレーションで混乱が生じている様子がうかがえる。これでは顧客が離れていって当然だろう。

 こうしてみると、「いきなり!ステーキ」が米国で失敗したのは当然の結果といえる。「とにかく出店できればいい」という安易な考えで事業を進めてしまったため、不完全で中途半端な店舗ばかりが増えていったようにみえる。「サービス品質の低さ」がそのことを如実に物語っているのではないか。

「いきなり!ステーキ」の米国事業は、いったん頓挫したかたちだが、それよりも大きな問題となりそうなのが、日本市場だろう。日本でも米国同様に大量閉店の憂き目に遭う可能性が低くはないと考えられるためだ。

「いきなり!ステーキ」の1月の既存店売上高は、前年同月比19.5%減と大幅減収だった。減収は10カ月連続となる。飛ぶ鳥を落とす勢いがあった国内の「いきなり!ステーキ」も、ここにきて勢いに陰りが見えている。

 背景には、度重なる値上げで割高感が出たことやブームが一巡して飽きられたことがある。そして注目したいのが大量出店の弊害だ。

「いきなり!ステーキ」の1月末時点の国内店舗数は、1年前から205店増えて401店となった。わずか1年で倍増した。この大量出店により自社競合が生じている。これが減収の大きな要因になった。そしてもうひとつ重要なのが、大量出店からくるサービス品質の低下だ。一気に大量出店してしまうと新人店員が多くなったり、教育が行き届かなくなってしまうなどでサービス品質が低下する危険性が高まる。そうなってしまえば、サービス品質の低さを嫌気した客離れが生じてしまうだろう。

 これが米国で起きたことは、前述したとおりだ。店舗網が急拡大したことで従業員教育が行き届かず、それにより店舗オペレーションで混乱が生じるなどしてサービス品質の低下を招いた。こうして米国では客離れが起きたわけだが、日本でも同様のことが起こりかねない。そうなれば深刻な事態を招くだろう。ペッパーフードサービスは、このことに細心の注意を払う必要があるといえそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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