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「高い」と不評のスタバ、コーヒー1杯1200円の高級店が「高くない」と大満足した理由

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

スタバのブランドイメージ向上の起爆剤になるか

 スタバが同店をオープンしたのは、ブランドイメージを高めるほか、同店の商品や店舗デザインの価値をほかのスタバ店舗に移植するためだ。感度の高い中目黒でスタバのコアの価値となる「サードプレイス」(職場でも自宅でもない第三の居場所)に磨きをかけ、全体の底上げを図りたい考えだ。

 スタバは国内のコーヒー専門店の中でも圧倒的な強さを誇る。国内店舗数は約1400店でドトールコーヒーショップ(約1100店)やコメダ珈琲店(約830店)など並み居るライバルを抑え、業界最多を誇る。店舗数は増加傾向にあり、今後も積極的な出店を続けていくとみられる。勢いは衰えておらず、血気盛んで、しばらくは独走状態が続きそうだ。

 ただ、顧客満足度の低下が懸念材料となっている。日本生産性本部のブランド調査では、スタバの顧客満足度は2014年度にカフェ部門において1位だったが、15年度に3位に転落し、16年度は4位に後退、17年度は5位以下の圏外に消えた。18年度第1回調査でも圏外となっている。このように、同調査ではスタバの顧客満足度の低下が深刻となっているわけだが、理由として価格の高さが指摘されている。

 スタバは全国規模のコーヒーチェーンのなかでは価格が高めだ。スタバはフローズン状の飲み物「フラペチーノ」を大ヒットさせ人気を獲得してきたが、フラペチーノは500円台、600円台と高額のものが多い。ほかの飲み物も総じて高めだ。2月15日に値上げを実施したことも、価格の高さに拍車をかけている。コーヒー豆を中心とした原材料費や人件費、物流費の高騰を理由に主力商品を10~20円程度引き上げた。商品改良などを伴わない幅広い価格改定は11年2月以来8年ぶりとなるが、この値上げにより割高感がさらに高まった。今後さらなる顧客満足度の低下が懸念される。

 価格が高くても、それ以上の価値があれば来店してもらえる。そうするためには商品や店舗空間の価値を高めていく必要がある。そういったことを実現させる上で重要な役割を果たすことになるのがロースタリーだ。

 スタバはフラペチーノを中心に若年層向けの商品に強みを持つ。一方で、年齢が上がれば上がるほど好まれる傾向にあるドリップコーヒーは必ずしも強みとはいえず、改善の余地が大きかった。中高年層を取り込むほか、客の高齢化に対応するためにもドリップコーヒーの強化は必須だ。そうしたなか、ロースタリーで焙煎したコーヒー豆を全国の店舗に届けるなどして、ドリップコーヒーを強化したい考えだ。また、ロースタリーの利用客は通常店よりも年齢層が高めのため、そういった層に好まれる商品を見極める場にもなる。ロースタリーで人気が出た商品を通常店に広げることで、中高年層を取り込むほか、若年客の高齢化に対応できるようになることが期待できる。

 ロースタリーは店舗空間の面でも大きな役割を果たしそうだ。ロースタリーの内装やコンセプトを新規出店店舗などで生かすことができるだろう。スタバの「サードプレイス」としての価値をさらに高めることが期待できる。

 このように、ロースタリーが商品や店舗空間のハブの役割を担うことで、スタバ全体のブランドイメージを高めたい考えだ。ロースタリーの今後が期待される。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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