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藤野光太郎「平成検証」改正水道法の急所(2)

【水道民営化】安倍政権、自治体・議会の承認なしで運営権売却&料金値上げ可能に

文=藤野光太郎/ジャーナリスト
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 前回触れたように、改正水道法の施行は公布日である18年12月12日から1年以内だが、新PFI法の全面施行はその約2カ月前の18年10月1日。さらに2カ月を遡る同年8月1日、「自治体向けのインセンティブ=(1)と(2)」が先行して施行された。

3.「運営権対価による繰上償還」と「補償金の免除」

 多くの地方自治体には、上下水道事業などインフラの整備財源として地方債が発行されている。地方債は原則として、交通・ガス・水道など公営事業の資金調達時に発行可能な財源であることが地方財政法の第5条に規定されている。それに充てられる公的資金として、財政融資資金(財投)と地方公共団体金融機構資金がある。

 新PFI法の施行前は、自治体が財投の元金を繰上償還する際、別途「補償金」を支払わねばならなかった。自治体が借入金を一括で返済してしまえば、国は得られるはずの金利を失ってしまうからだ。

 これについて、新PFI法は附則第4条「水道事業等に係る旧資金運用部資金等の繰上償還に係る措置」の第3項でこう記載した。

「……政府は、繰上償還に応ずるために必要な金銭として対象貸付金の元金償還金以外の金銭を受領しないものとする」

 国を挙げて水道の運営権売却を煽るため、同規定は自治体が得る運営権対価を繰上償還に充当することを認め、しかも、その「補償金」支払いを条件付きで「免除」したのである。

 安倍政権は、オリンピック閉幕後の2年先までにコンセッション事業が生み出す市場目標額7兆円を公言している。自治体が繰上償還を申し出る期限はその約2年以内。「水道の将来に対する世論の不安など無視して、さっさと水道コンセッション契約に邁進しなければ、出口のない自治体の財政負担は消えないぞ」というわけだ。

 政府が期限を切って申請をいったん締め切るのは運営権者を守るためだが、経緯と理由、そして、そもそもの目的は回を追って後述する。首長からの上意下達でコンセッション契約に向かわされる自治体の担当部署は、足下を見た政府に追い立てられ、想定される契約上の不利を曖昧にしたまま水道コンセッションの研究や前交渉に没頭している。

4.「運営権」移転手続きに議決が不要と念押し

「運営権の移転手続きの緩和推進=(3)」と「料金改定に関する規定の緩和=(4)」は少し複雑で巧妙だ。水道法改正前の昨秋、筆者は同席した全国紙の記者から「議会が承認しなければ運営権の売却も料金改定もできないはずでしょ」と反論されて驚いたことがあった。記者が誤解していた原因は、旧PFI法から新PFI法への改正で関連法と巧妙につながれた条文を読み切れていなかったせいである。「地方自治法」「新PFI法」「改正水道法」などを照合すれば、コンセッション推進の執拗さと巧妙さがよくわかる。

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