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藤野光太郎「平成検証」改正水道法の急所(2)

【水道民営化】安倍政権、自治体・議会の承認なしで運営権売却&料金値上げ可能に

文=藤野光太郎/ジャーナリスト
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 まずは「運営権の移転手続きの緩和推進=(3)」に見られる執拗さだ。

 地方自治法の第244条の2第6項は、自治体が管理者を指定する場合、「あらかじめ、当該普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない」と規定している。PFI法は旧法第26条第2項で「許可を受けなければ、移転することができない」としつつ、第4項で「ただし、条例に特別の定めがある場合は、この限りでない」とすでに解禁していた。

 新PFI法では、ここにわざわざ第5項を追加挿入し、次のように記述している。

「同項(筆者注:地方自治法第244条の2第6項)中『ならない』とあるのは、『ならない。ただし、第3項の条例に特別の定めがある場合は、この限りでないものとし、この場合には、当該普通地方公共団体の長は、指定管理者の指定後遅滞なく、当該指定について当該議会に報告しなければならない』とする」

 面倒な言い回しだが、この「第3項」とは「条例で定めよ」である。運営権の移転手続きを厳しく「報告しなければならない」と装っているが、これは旧法の第26条第4項で解禁していた「議決不要」を、新法の同条に追記した第5項で執拗に再規定したものだ。まとめて平たく意訳すれば、こういうことである。

「自治体が公的施設の管理者を指定する場合、議会の議決が必要だと地方自治法では定められているが、旧PFI法の第26条第4項で条例に特別規定があれば問題ナシとしている。この点について、新PFI法で第5項を追加し、議会には『報告だけでよい』と念入りに規定した」――だから、自治体は公共施設の運営権売却にもっと拍車をかけたまえ、ということだ。

 新旧PFI法が「議会承認も不要」として自治体に「これでもか」と執拗に促す移転手続きの緩和は、住民の承認も不要であることを意味している。住民は「水道を運営しているのは自治体だから安心」と思い込みがちだが、今後は自治体行政を監視する議会も、それを知るのは指定後ということになる。国民に対する水の供給を「民間には任せず公的主体が責任を持つ」ために、「水道法」を「水道事業法」としなかった立法時の理念を、新PFI法は苦もなく毀損し、骨抜きにしたのである。

5.水道料金改定の自治体に対する事前承認は不要

 しかし、実はこれら以上に問題なのが、新PFI法に盛り込まれた「料金改定に関する規定の緩和=(4)」である。

 地方自治法は、第244条の2第9項でこのように定めている。

「利用料金は…(略)…指定管理者が定めるものとする」「指定管理者は、あらかじめ当該利用料金について当該普通地方公共団体の承認を受けなければならない」

 これに基づいて、旧PFI法では第23条第2項でこう規定していた。

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