ドワンゴ「ニコ動」凋落、会員流出で巨額赤字に…経営統合相手カドカワのお荷物に

日本のプラットフォームをつくる

 KADOKAWAの創業家出身の角川歴彦会長は3年間、川上氏にラブコールを続けてきたという。経営統合の際には「天才、川上くん」と持ち上げ、「川上くんという若き経営者をようやく手にした」と、経営手腕に絶大の信頼を寄せていた。角川氏は川上氏に2つのことを託した。

 ひとつは、「日の丸プラットフォーム」をつくること。米アマゾン・ドット・コムなどプラットフォーマーの台頭に危機感を抱いた角川氏は、コンテンツ制作とネット配信が一体になることで、KADOKAWA、ドワンゴの両社の関係がウィン-ウィンになるとの構想を描いた。

 プラットフォーマーとは、インターネット上で大規模なサービスを提供している巨大IT企業を指す。有名なプラットフォーマーに、グーグルアップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムがある。それぞれの社名の頭文字を取って「GAFA(ガーファ)」と呼ばれている。角川氏は、GAFAに対抗できる「日の丸プラットフォーム」をつくることを川上氏に託した。

 もうひとつは後継者だ。出版不況のなか、KADOKAWAが成長を遂げるには紙媒体出身者では難しい。ネットに強い若き経営者に託すしかない。新会社の発足に伴い、角川氏は相談役に退き、川上氏に経営を委ねた。

ニコニコ動画はグーグルのユーチューブに完敗

 カドカワが戦おうとしたグーグルやアマゾンは強敵だ。思い描いた通りの未来図を実現できるのかと、疑問視する向きはあった。

 川上氏はドワンゴで07年に始めた「ニコニコ動画」で頭角を現わした。しかし、皮肉にも「ニコニコ動画」「ニコニコ生放送」などの不振が自身の進退につながった。

 ドワンゴの主力サービスである「ニコニコ動画」は、有料会員から得る利用料を主な収入源としている。無料が当たり前だった日本のネット文化に有料課金モデルを構築したのはドワンゴだ。

 だが、広告収入による無料モデルで利用者を増やすグーグルの動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」にお株を奪われた。ユーチューバーと呼ばれる個人投稿者が再生回数を競い、月間数千万回を稼ぐ人も出てきた。ネット上では、「ニコ動はオワコン(=終わったコンテンツ)」と揶揄されるようになった。

 収益の柱となる有料会員は16年の256万人をピークに減少に転じ、18年末には188万人まで落ち込みドワンゴの赤字幅が拡大していった。

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