「デサントとの協議打ち切り」発表

 国内では2000年代に敵対的TOBが盛んになったが、その多くが失敗に終わった。「ホワイトナイト(白馬の騎士)」が出現し、TOB価格より高い値段で株を買い取る対抗TOBを実施したためだ。

 伊藤忠の買い取り価格(1株2800円)は、TOB発表前日の終値の約5割増と破格の高値だ。これ以上の価格で対抗してくれるホワイトナイトを見つけるのは難しく、デサントも「対抗策は協議していない」と述べている。もし、デサントの6月末の株主総会で委任状の争奪戦になれば、デサント側に勝ち目はないというのが大方の見方だ。

 伊藤忠の岡藤正広会長は、長年、デサントにかかわってきた繊維部門のドン。石本氏が伊藤忠の言うことに耳を貸さなくなり、しびれを切らしたのがTOBのきっかけだ。関西の名門繊維会社のトップは、こう指摘する。

「伊藤忠の繊維部門の収益の伸びが鈍化していることが、繊維出身の岡藤会長がデサントTOBに執念を燃やす背景にある」

「伊藤忠が圧倒的に有利」(M&A業界に詳しいアナリスト)と取り沙汰されるなか、水面下の動きが明らかになった。

 2月19日付「日経ビジネス電子版」が、伊藤忠が和解案を提示したとスクープしたのだ。

 それは「伊藤忠が出す取締役2人を1人に減らし、2人の社外取締役の指名権を伊藤忠が握る案を提示している」という内容。だが、伊藤忠は「本日、一部報道機関より憶測に基づく記事が出ておりますが、現状の条件でTOB を継続する方針に変わりはありません」とする否定のコメントを出した。伊藤忠が「日経ビジネス」の記事を全面否定するのは珍しいため、話題になった。

 だが、「日経ビジネス」(日経BP/3月4日号)は伊藤忠が否定したにもかかわらず、再び「(伊藤忠が)水面下で和解案を示した」と念押しの記事を掲載した。そこでは「『対立ばかりしていても何もいいことはない。きちんと話し合いなさい』。2月7日にデサントが伊藤忠によるTOBに反対表明した後、デサントの元社長の仲介で、デサントの石本雅敏社長と伊藤忠の小関秀一専務執行役員が水面下で複数回接触した。そこで出てきたのが和解案だ」と書いている。さらに、「今後の焦点は、デサント側が伊藤忠の和解案を受け入れるかどうかに移る」とした。

関連記事

プレスリリース入稿はこちら サイゾーパブリシティ